2015年10月16日(金)
臨時国会開会は国民の声
回避図る安倍政権・与党
召集要求へ野党結束
国会審議が求められる重要問題が山積する中、臨時国会開会に応じない安倍政権と与党に対し、野党が召集を求める動きを強めています。民主党の岡田克也代表は、憲法53条を使って召集を迫る考えを示し、日本共産党の山下芳生書記局長も「政府の姿勢をただすべき案件がたくさんある」(13日)と応じる考えを表明しました。
国会の審議ぜひ
通常国会終了後も必要に応じて国会を開く必要があるため「臨時会」の制度があり、内閣が召集権を握っています。一方、国会が「国権の最高機関」であることから、憲法53条は、内閣が召集しない場合でも衆参両院議員のいずれか4分の1以上の要求があれば、臨時会を開かなければなりません。いま野党が一致して臨時国会の召集を要求するのは、国会として国民の願いに応えるものです。
安倍政権と与党は、国民多数の反対世論と徹底審議を求める野党の反対を無視し、強権的に戦争法を成立させましたが、直後の世論調査(「朝日」9月21日付)では、国会での議論が「尽くされていない」は75%にのぼりました。内閣改造後の世論調査(「毎日」9日付)でも、戦争法の制定を「評価しない」が57%と半数を超え、国民世論の反発は高いままです。違憲立法の実施準備を進める政府を、国会が監督するのは当然です。
説明責任果たせ
戦争法への国民の批判をそらそうとおこなった内閣改造の“目玉”にした「1億総活躍」の中身も不明で、臨時国会では、首相の所信表明演説をはじめ、新しく就任した閣僚の所信聴取と質疑をおこなうことは不可欠です。
また、秘密交渉で大筋合意された環太平洋連携協定(TPP)の中身も明らかにする必要があります。国民世論も国会決議にも反して大幅譲歩を重ねた日本政府の対応について、きちんと説明責任を果たすべきです。
沖縄県の翁長雄志知事が埋め立て承認を取り消した名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐる議論も不可欠です。政府は承認取り消しの執行停止と無効を求める対抗措置に出ていますが、沖縄県民の民意を無視して米軍基地を押し付けるやり方は厳しくただされなければなりません。
政府・与党は、憲法53条の規定で召集義務が課せられても、召集時期を遅らせたり、会期を短くしたりする可能性がありますが、憲法の趣旨を無視するやり方であり、到底許されません。
(佐藤高志)