2015年10月14日(水)
沖縄県が防衛局に提出
「公有水面埋立承認取消通知書」
要旨沖縄県が13日、沖縄防衛局に提出した「公有水面埋立承認取消通知書」(要旨)は次の通り。
公有水面埋立法第42条第3項により準用される法第4条第1項の規定に基づき、次のとおり法第42条第1項による承認を取り消す。
処分の内容 普天間飛行場代替施設建設事業に係る公有水面埋立承認は、これを取り消す。
取り消し処分の理由
【辺野古新基地の必要性】公有水面埋立法(以下、法)の第4条1項第1号については、次のことから、「国土利用上適正且合理的ナルコト」の要件を充足していない。
(1)埋め立ての必要性 普天間飛行場代替施設は辺野古に建設せねばならない理由については実質的な根拠が乏しい。
(ア)普天間飛行場が、国内の他の都道府県に移転しても、依然4軍(陸海空軍、海兵隊)の基地があり、抑止力・軍事上のプレゼンスが許容できない程度まで低下しない。
(イ)県内移設の理由として「地理的な優位」「一体的運用の必要性」等は、時間・距離その他の根拠が示されておらず、具体的・実質的証明がなされていない。
(2)いったん埋め立てが実施されると現況の自然への回復がほぼ不可能。騒音被害の増大は住民の生活や健康に大きな被害を与える可能性がある。
(3)全国の米軍専用施設の73・8%を抱える沖縄県で米軍基地の固定化を招く契機になり、基地負担について格差や過重負担の固定化につながる。
【環境保全措置】法第4条第1項第2号については、「其ノ埋立ガ環境保全及災害防止ニ付十分配慮セラレタルモノナルコト」の要件を満たしていない。
1 辺野古周辺の生態系 県の環境保全策との整合性について、「実行可能な範囲で最大限の環境保全策を講じることとしていることから、適切に評価している」と述べるのみである。
辺野古海域等の生態系について、食物連鎖や生態系機能についての評価はいずれも定性的であって定量的ではない。
2 ウミガメ類 なぜキャンプ・シュワブ沿岸で産卵がされているのか、その重要性はどうなのかについて評価を全く行わないまま、他に産卵可能な場所に回避するだろうとの希望的な観測をしたにとどまっており、科学的な予測・評価がなされていない。
3 サンゴ類 サンゴ類の移植技術は確立されたものではなく予測の不確実性が大きい。移植が失敗した場合、工事進行後には再度の移植が困難になることについての考慮が不明であるが、事業者は、移植技術が確立していないことのリスクについてまったく検討していない。
移植の事後調査期間を概ね3カ月後としているが、その妥当性が示されておらず、生育不良があった場合の原因を特定することが困難。
4 海草藻類 埋立によって消失する海草藻場について、その重要性に照らした回避・低減策について検討されていない。消失面積についての調査も、海草全体で行っているため種ごとの状況が明らかになっていない。
5 ジュゴン 埋立土砂の調達・運搬のための航行による影響回避として、ジュゴンの行動範囲である岸から10キロメートル以内を回避することの実効性について、オーストラリアを参考にしたというが、沖縄のジュゴンの生態系が明らかではないのに、オーストラリアでの行動追跡結果のみを根拠にしてジュゴンの行動範囲を推測するにとどまり、ジュゴン個体群への影響について検討されていない。
施設共用についての影響への対策について、米軍と「十分調整」する、「機会あるごとに米軍に要請する」というのみで、実効性が担保されていない。
(ジュゴン保護に関する)環境影響評価のために実施された調査の期間が不十分。ジュゴン個体群の存続可能性、埋め立て対象地の重要性についての分析が不十分。
6 埋立土砂による外来種の侵入 供給元での現地調査等や土砂導入、造成後の現地モニタリングなどを行うのみで、土砂調達場所未定のため具体的に示せないとして具体的な対応を示していない。
7 航空機騒音・低周波音 環境影響評価の手続きの最終段階である評価書で、オスプレイが初めて明記されたが、オスプレイの配備計画については、本件事業の計画前から存在していたので、本来、方法書及び準備書段階で記載すべき。
オスプレイの飛行騒音時における騒音基礎データが図のみで示され、具体的な騒音測定値が示されていないなど、予測の妥当性が検証できない。
低周波音に関する心理的影響、生理的影響、物理的影響について恣意的な評価が行われている。低周波音の心理的影響の評価については、環境省手引書の閾値(いきち、参照値)よりも10デシベル以上も高い(緩い)独自の閾値を設定して恣意的な評価を行っている。