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2015年10月12日(月)

泥沼アフガン戦争

深まる自衛隊派兵の危険

戦争法で米の要請拒否できるのか

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 政府・与党が戦争法を強行成立させてから約3週間。すでに南スーダンPKO(平和維持活動)における自衛隊の任務拡大の具体化が始まっていますが、アフガニスタン情勢をめぐっても、派兵の危険性が深まる状況となっています。

 (小泉大介)


 米軍がアフガン北部クンドゥズで3日に実施した空爆は、世界に衝撃を与えました。

 「国境なき医師団(MSF)」の病院への1時間に及ぶ執拗な空爆は、MSFスタッフと患者ら22人を殺害。死者には子ども3人も含まれており、MSFは声明で「戦争犯罪」「唾棄すべき行為」だと糾弾しました。

 これは、アフガン戦争開始から14年後のいまも、同国が戦争の真っただ中にあること、戦争を支持してきた日本政府の責任も厳しく問われる事態だということを白日の下にさらしました。

 米軍は2001年9月11日の米同時多発テロへの報復として、翌10月に「不朽の自由作戦」(OEF)という名のアフガン戦争を開始。同時多発テロを実行した国際テロ組織アルカイダをかくまっていたとされた「タリバン政権」は、約2カ月の戦闘により「転覆」させられました。

国際部隊死者3500人

 しかし、米軍らの無差別の空爆や銃撃は多数の民間人犠牲者を生みました。これによる住民の反米感情も利用したタリバンの抵抗は現在も衰えず、今回の空爆が行われたクンドゥズを9月末に「制圧」していました。

 アフガンでは01年末に「治安維持」や「人道支援」を担う国際治安支援部隊(ISAF)が活動を開始しますが、同部隊は次第にOEFと混然一体となって武装勢力掃討作戦にのめり込みました。要員約3500人の死者を出したISAFは昨年12月に活動を終了。今年1月には新たに「確固たる支援任務」(RSM)が始動し、現在、米を中心に42カ国、約1万3200人が参加しています。

 オバマ米大統領は、16年末までにアフガンから米軍を「完全撤退」させると公約してきました。そうであれば、自衛隊派兵は問題にならないかもしれません。しかし――。

 「オバマ大統領は撤退予定の変更を検討しています。米政権内には、イラクから米軍が撤退したことが過激組織ISの台頭を許したとの“反省”があるのです」

米は駐留延長検討

 こう指摘するのは、現代イスラム研究センターの宮田律理事長。「アフガンで米軍駐留が延長されれば、自衛隊派兵圧力が強まることは十分考えられます。これまで米国の戦争につきあってきたうえ、戦争法まで成立させた日本政府が拒否できるでしょうか」とつづけました。

 実際、駐アフガン米軍のキャンベル司令官が、17年以降も1万人規模の米兵駐留継続の案を政府に示したとの報道もあります。

 いつ終わるとも知れないアフガン戦争――。

 自衛隊は戦争法成立によって、国連が統括しないISAFやRSM型の活動への参加、しかも任務遂行型の武器使用もできるようになりました。安倍首相は国会審議のなかで、RSM参加の可能性について、「法令にしたがって主体的に判断していく」などと述べ、否定しませんでした。

 アフガン戦争で日本政府は、海上自衛隊をインド洋に派兵し、空爆作戦に従事する米艦船などへの給油活動を10年1月まで実施しました。しかしISAFへの地上部隊の派兵については、国民の厳しい批判やアフガン治安情勢の極度の悪化などにより断念せざるを得ませんでした。それが今後は、“大手を振って”可能となるのです。

 宮田理事長はこうもいいました。

 「だいたい、安倍首相は『日本が戦争に巻き込まれることは絶対にない』といいますが、戦争法で新たに可能となる『駆けつけ警護』などは、はなから戦争に巻き込まれるためのもの。バカこくでねえ、と申し上げたい」


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