2015年10月11日(日)
武器輸出に貿易保険 政府が検討
“死の商人”を 税金で援護?!
損失に国の財政で穴埋めも
安倍晋三政権が武器輸出促進のため、貿易保険の活用を検討しています。貿易保険は輸出入や海外投資を対象とし、戦争などの「カントリーリスク」(外国固有の事情に起因するリスク)を日本政府が引き受ける制度。過去には保険金支払いで保険財政がひっ迫し、政府が一般会計から多額の税金を繰り入れたこともあります。貿易保険の活用は武器輸出企業の損失を税金で穴埋めする事態につながりかねません。
武器輸出への貿易保険の活用を検討してきたのは防衛省の「防衛装備・技術移転に係る諸課題に関する検討会」です。同検討会は、安倍政権が2014年4月に武器輸出を原則解禁したことを受け、同年12月以降7回開催。9月30日に報告書を公表し、貿易保険など「公的金融の活用」を「検討する必要がある」と強調しました。
貿易保険制度は1950年から政府が運営。2001年から独立行政法人日本貿易保険(NEXI)が実務を引き継ぎ、政府がリスクを引き受けています。輸出企業など被保険者が支払う保険料を原資にし、戦争や自然災害、外国政府の契約破棄などによる損失をカバーしています。
1980〜90年代には、中南米債務危機や湾岸戦争で保険金支払いが急増して貿易保険財政は大赤字に陥り、一般会計からの繰り入れで穴埋めしました。国が債権回収の交渉をして一般会計に繰り戻すものの、「回収が難しいケースもある」(経済産業省)といいます。
貿易保険を活用すれば、武器輸出の損失補てんに税金が投入される危険があります。戦争法を強行成立させた安倍政権の軍事産業強化に向けた露骨な姿勢が表れています。
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