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2015年10月7日(水)

主張

TPP「大筋合意」

秘密交渉の結果押し付けるな

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 環太平洋連携協定(TPP)について協議していたアメリカ、日本など12カ国は、協定の大筋について合意したと発表しました。協議では懸案となっていた医薬品のデータ保護期間や乳製品の市場開放、自動車の原産地規則などでも合意したといいます。日本はアメリカなどとの交渉で牛・豚肉、乳製品や主食であるコメについてまで大幅な市場開放を受け入れました。TPP交渉は国民には中身を知らせず異常な秘密交渉が行われてきました。大筋で合意したといっても協定文の作成や調印はこれからです。日本は協定文作りから撤退し、調印を中止すべきです。

各国の経済主権を侵害

 最終交渉といわれた閣僚会合が日程の延長を重ね、難航したように、原則としてあらゆる関税と非関税障壁を撤廃するTPPは力が強いアメリカなどのルールを各国に押し付けるものです。多国籍の大企業の利益を図り各国の経済主権を侵害するため、各国内でも批判の声が高まり、一時は「漂流」が取りざたされる状態でした。

 たとえば最終調整に持ち込まれたバイオ医薬品のデータ保護期間は多国籍企業の利益のために「12年」という長期を主張するアメリカと、安価な後発医薬品(ジェネリック)が利用できるようより短い「5年」を主張したオーストラリアなどが激しく対立しました。乳製品をめぐっても、この分野で輸出競争力の強いニュージーランドとアメリカ、日本などが対立、アメリカがニュージーランドからの輸入を増やす一方、日本に輸入拡大を迫る形で決着しました。

 大筋合意したTPPには最後まで懸案になったこうした分野のほか、関税・非関税障壁の撤廃や削減、政府調達や知的財産、労働、環境などの新しいルールづくりなどが盛り込まれています。投資企業が進出先の政府を訴えることができるISDS手続きも含まれます。文字通り国の在り方そのものを変えるものです。政権に復帰した後、2年あまり前に交渉に参加し、しゃにむに合意を急いだ安倍晋三政権の責任は重大です。

 とりわけ安倍政権が、TPP交渉の促進のためには日米の合意が不可欠と、並行して行われた2国間交渉などで譲歩を重ね、牛・豚肉、乳製品、コメなどの大幅市場拡大を受け入れたことは重大です。なかでもコメについてはアメリカ7万トン、オーストラリア8400トンの関税のかからない輸入枠を認めるなど、文字通りの大幅譲歩です。重要農産品の「聖域は守る」としてきた自民党の公約にも国会決議にも違反するものです。

 TPPは関税撤廃を原則にするといいながら、自動車の関税は日本がゼロなのに、アメリカ自身は25年間にわたって関税を維持するという不公平な内容です。まさにアメリカと多国籍企業の利益最優先の合意であり、安倍政権の姿勢はまさに売国的、屈辱的というにふさわしいものです。

協定撤退、調印許さず

 TPP交渉の大筋合意にあたり、安倍首相は「国家100年の計。暮らしを豊かにしてくれる」としています。しかし、農家や農業団体だけでなく、労働組合や市民団体など、多くの国民がTPPに反対し、撤退を求めてきたのをどう受け止めるのか。協定への調印を許さず、TPPからの撤退を求めることがいよいよ重要です。


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