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2015年10月6日(火)

主張

待機児5年ぶり増

子育ての土台が揺らいでいる

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 保育所へ入所を申し込んだにもかかわらず入れなかった子どもの人数は今年4月1日時点で2万3167人にのぼり5年ぶりに増加に転じました。申し込んだ人は昨年より13万人以上増えたなか、保育所増設・整備の規模と速度が、親の希望に追いついていないことを示しています。安心の子育て環境をつくるうえで、基盤ともいえる認可保育所の大幅増設が緊急の課題であることは明らかです。

新制度スタートの年度で

 厚生労働省が先月29日に公表した待機児童数の調査結果は、今年の春も多くの親が子どもの預け先を確保するため必死に駆け回っても、希望がかなわない実情を浮き彫りにしました。待機児童数は昨年の同時期より1796人も増えました。待機児童がいる市区町村は前年より36も増え374になりました。50人以上待機児童がいる自治体は16増の100以上となりました。待機児童が400〜300人以上増えた市もあります。

 4月は、安倍晋三政権が「すべての子どもたちが笑顔で成長していくために」などをうたい文句に「子ども・子育て新制度」をスタートさせた最初の月です。「待機児童を減らす」ことを柱にすえた制度が始まった年度に、かえって待機児童が増える逆行した事態を引き起こしていることは重大です。

 もともと厚労省は待機児童数を少なく見せることを狙い、認可保育所を希望して入れなかった子どもであっても地方自治体が独自基準で行う「認証保育所」などに入れれば、待機児童数から除外してきました。今回の新制度では、待機児童の「定義」をさらに狭める改悪を行い、基準の緩い小規模保育施設などに入った子どもも待機児数から外しました。待機児童数をできるだけ少なく見せようとする厚労省調査でも増加に転じたことは極めて深刻です。

 今回、待機児童が増えたのは「新制度で期待が高まった」(厚労省)などと“一時的現象”であるかのようにいうのは、あまりに不見識で無責任です。新制度によって保育施設が増え、待機児童が減るかのように、さんざん宣伝したのは安倍政権ではなかったのか。

 保育所を利用できる可能性がわずかでもあれば、子どもを預けて仕事に就きたいと親たちが望みをつなぐのは自然な思いです。しかも、現在のきびしい経済状況のなかでは、とりわけ切実です。入所希望が昨年の2倍を超える13万人以上も増えた今回の調査結果は、子どもを安心できる保育所に入れたいと痛切に願う親たちが、潜在的に広範に存在している現実を突きつけています。この願いに正面からこたえ、子どもを安心して預けられる安全な認可保育園増設を基本に保育施設を大幅に増やすことこそが国のまったなしの責任です。

国の責任を明確にして

 国や自治体などの公的責任の後退を狙い保育所増設などを営利企業にまかせることを拡大する「子ども・子育て新制度」に、親の願いを託すことはできません。今年4月の待機児童増も、国や自治体による認可保育所の増設・整備が大きく立ち遅れているためです。保育士不足を引き起こしている職員の処遇悪化も新制度のもとで抜本的な改善は図られていません。新制度による公的保育の後退を許さない世論と運動を広げ、保育の量質ともの充実が急がれます。


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