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2015年9月29日(火)

来月7日 防衛局聴聞

沖縄・辺野古埋め立て取り消し 翁長知事が会見

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(写真)会見する翁長知事=28日、沖縄県庁

 沖縄県の翁長雄志知事は28日、県庁で臨時会見を開き、同県名護市辺野古の米軍新基地建設の根拠となっている前知事の埋め立て承認の取り消しに向けて、事業者である防衛省沖縄防衛局に対し「聴聞」手続きを実施すると発表しました。県は同日付で、10月7日を「聴聞」の実施日とする通知書を防衛局に送りました。

 菅義偉官房長官は28日午後の記者会見で「わが国は法治国家なので、法律に基づいて行われたことについては、政府は基本的な考え方を述べる」と述べ、聴聞に応じる意向を示しました。

 県は取り消し処分にあたって国側の主張を聞くため、28日を期日として「意見聴取」の場を設定しました。しかし、国側は行政手続法による「聴聞」によらなければ「手続きに応じられない」と主張し、この日の「意見聴取」に対して出頭も書類提出もせず、県の申し出を拒否しました。

 これを受け、翁長知事は会見で、「国が意見を述べないまま手続きが進む状況は県としても本意ではない」と説明し、手続きを丁寧に進める考えを強調。「(国との)裁判を予測しても必ず勝訴したいという思いもあり、丁寧な取り扱いになる」とも述べ、今後の法廷闘争もにらんだ上での措置として県民に理解を求めました。

 翁長知事は取り消しが10月7日以降になるとの考えを示した上で、国側が本体工事を強行するなどの事態が生じた場合の対応は「私が判断させていただきたい」と、政治判断による処分時期の前倒しも示唆しました。

解説

法廷闘争視野に強い決意

沖縄県名護市辺野古の埋め立て承認の取り消しに向けた手続きで、行政手続法に基づく「聴聞」を実施するかどうかをめぐって、県と国の立場が異なるのは、両者が取り消し処分後の対抗措置や法廷闘争を見据えているからです。

 同法は、行政機関による処分で何らかの不利益を被る団体・個人の権利を保護することが趣旨。聴聞は、処分の対象になる団体・個人から意見を聞く制度です。ただし、同法4条1項で国の行為は適用除外になっているため、本来は沖縄防衛局に対する聴聞は実施されません。

 それでも聴聞を要求する狙いは何か。それは、聴聞を受け入れさせることで、国の行為を団体・個人など「私人」と同様のものと認めさせることが考えられます。

 「私人」であれば、行政不服審査法に基づく「審査請求」を所管大臣(国土交通相)に対して行い、国交相が審査請求に基づいて取り消し処分の「一時停止」を指示し、無力化することができます。

 このため、県側は、行政手続法に基づく「聴聞」ではなく「意見聴取」を提起しました。

 知事は、防衛局が意見聴取を拒否した時点で取り消し処分を取ることが可能です。しかし、「国が意見を述べないまま手続きが進む状況は、県としても本意ではない」として、「聴聞」手続きを実施することとしました。法廷闘争に入った場合、国側が「入り口論」で突っぱねる危険があるからです。

 同時に、知事は防衛局に対する28日付「聴聞通知書」で、県としては行政手続法に基づく手続きは「不要」との見解を明記しています。

 本来、国が「審査請求」という脱法的な手法で沖縄県の取り消し処分を無力化すること自体、許されることではありません。そのような世論を広げ、「辺野古に新基地を造らせない」とのゆるぎない立場を表明している翁長知事を支えていくことが求められます。(竹下岳)


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