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2015年9月27日(日)

安全対策 「中日本」任せ

高速道 落下物事故ひん発なのに

民営化から笹子トンネル事故まで指導ほぼ無し

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 日本道路公団が2005年10月に民営化して以降、道路構造物の老朽化や落下事故が相次ぎました。それにもかかわらず、所管する国土交通省は中央自動車道の笹子トンネル事故までの約7年間、同トンネルを管理する中日本高速道路に対して落下物対策についてほとんど指導していなかったことが26日、本紙が入手した資料からわかりました。

 (矢野昌弘)


 本紙が情報公開請求で入手したのは、国交省が中日本高速道路に出した安全や維持点検に関する文書です。

 民営化直後の06年から、笹子トンネル事故直前の12年11月末までの約7年間に、国交省が出した文書はわずか6件(表)。ほとんどが「テロ対策」のための点検についてです。

 落下物対策として注意を促したといえるのは、東日本大震災直後の11年4月だけ。それも「(震災による)変状が見られないか確認に努め」るようになどと一般的な注意喚起にとどまっています。

外注を進める

 一方の中日本高速は06年4月に5年間の経営計画「チャレンジV」を発表しました。そこでは「保全・サービス事業について、05年度までに実施した02年度比3割コスト削減水準を維持しつつ、更なる削減をめざします」と宣言。保全点検や維持修繕で外注を進めるとしました。

 こうした中で、中日本は、トンネル内の照明を年1〜4回の頻度で、掃除しながら金具のゆるみなどを調べる「灯具清掃点検作業」を中止したことが関係者の証言で明らかになっています(本紙12年12月31日付)。

 中日本が維持点検費用の削減に熱中する中、管内で発生した落下物事故は、民営化から笹子事故までに計17件が発生しています。重さ120キロのコンクリート板や50キロのタイルなどが落下するなど、大惨事すれすれの事故が続発。

 他の高速道路会社でも落下物が多発していたにもかかわらず、国交省は指導していませんでした。

緊急点検指示

 相次ぐ落下事故に中日本は12年7月に各支社に緊急点検を指示しました。笹子トンネルは同年9月に詳細点検を予定しましたが、この緊急点検に対応するため、計画を縮小し、足場を使わない点検に切り替えました。そのため天井裏のアンカーボルトの異変を見逃しました。

 しかし、笹子事故後の13年と14年だけで計7件の注意喚起を高速道路会社に行っています。事故後の国交省の指示は、危険が予想される箇所を具体的に指摘しています。

 事故で犠牲となった青年5人の家族らが起こした損害賠償訴訟で、中日本側はずさんな点検だったことを認めず、「事故は予想できなかった」「ミスはない」などと責任逃れに終始。事故の責任追及や道路の安全でも、中日本任せにする国交省の姿勢が問われます。

看過した国交省の責任は重大

 日本共産党の穀田恵二衆院議員の話 笹子事故の前からインフラの老朽化が社会問題となっており、警鐘も鳴らされてきました。民営化すれば経営効率化ができるとして、維持・補修費用の3割減という中日本の方針を看過してきた国交省の責任は極めて重大です。私は衆院国土交通委員会で、高速道路3社(中日本、東日本、西日本)が民営化から5年間で補修が必要な箇所の総件数が3倍になったにもかかわらず、維持補修が横ばいという実態を明らかにしました。無謀な新規投資を抑制し、維持管理・更新に重点を置いた道路行政への転換が求められています。

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