2015年9月27日(日)
核兵器廃絶 発信相次ぐ
ローマ法王「緊急に必要だ」
国連総長「すべての国へ」
【ニューヨーク=島田峰隆】訪米中のフランシスコ・ローマ法王は25日、ニューヨークの国連本部で開催中の国連総会で演説しました。法王は各国首脳を前に「国連憲章に大きく逆行し、事実上それを否定しているのが、核兵器のような大量破壊兵器の拡散だ」と語り、核兵器の全面廃絶を呼び掛けました。
法王は、今年で70年となる国連憲章が紛争の平和的解決や諸国家の友好的な関係の土台になってきたと指摘。「国連憲章が尊重され、透明性と誠実さを持って適用されれば、平和的な解決が得られる」と強調しました。
そのうえで「相互破壊の脅しや全人類の破滅に基づいた倫理や法は自己矛盾であり、国連の枠組み全体への侮辱だ」と核抑止力論を批判。「核兵器のない世界をつくり、核不拡散条約(NPT)を全面実施することが緊急に必要だ」と力を込めました。
また世界で深刻化する貧富の格差や環境破壊について「権力と物質的繁栄を求める利己的で際限のない欲望が資源の乱用や弱者の排除を引き起こしている」と指摘しました。
特に近年の世界経済危機や債務返済をめぐる問題を念頭に「国際金融機関は各国の持続可能な開発に配慮するべきだ。貧困、排除、依存を生む枠組みに服従させる抑圧的な融資制度に国民が支配されないようにするべきだ」と訴え、拍手を浴びました。
国連の潘基文(パンギムン)事務総長は「核兵器全面廃絶国際デー」の26日にあたり、すべての国々に「核兵器のない世界」への「前進に向けた方途を探るための建設的な関与」を呼びかけるメッセージを発表しました。
メッセージは、最も破壊的な兵器である核兵器の使用を禁じるという規範が70年間守られてきたものの、二度と使用されないためには全面的廃絶しか方法がないと強調。5月の核不拡散条約(NPT)再検討会議では加盟国間に立場の隔たりがあったが、「核軍縮という共通の目的に関する限り、先送りは許されない。今すぐ行動しなければならない」とのべています。