2015年9月26日(土)
きょうの潮流
イギリスでマグナ・カルタ(大憲章)が制定されて、ことしでちょうど800年になります▼1215年は、中世のジョン王の治世で、『ロビン・フッドの冒険』の時代と重なります。物語のロビンは、州長官を懲らしめ、貴族や聖職者の富を奪い、貧しい人を助ける義賊(ぎぞく)です。一方、ジョン王は兄のリチャード王とは違い、敵役として描かれています▼歴史上の評判もよくありません。パリへの攻撃に失敗するなど、王の対仏遠征計画への批判が広がりました。いろんな機会に法外な一時金と税を課し、厳しい取り立てが横行し、法や慣習が無視されました▼この無法に多数の諸侯(バロン)が団結して立ち上がり、内戦になりました。ジョン王は圧力に屈し、要求項目を認めざるをえませんでした。大憲章は、王による重税や財政的搾取を戒め、専制にしばりをかけたのです▼こうした原理が発展し、後に近代の立憲主義として、権力は勝手なことをしてはいけないというルールになります。中世と比べて権力集中が進んだ近現代では、なおさら国家の大事な原則として確認されています。米国の憲法に反映し、日本の憲法にも影響を与えています▼安倍政権が強行した戦争法。「骨肉と化した9条の解釈」(山口元最高裁長官)を一内閣の専断で覆しました。国家の大原則を破壊する政治の行き着く先は、ジョン王同様の独裁です。日本共産党が提案する「戦争法廃止の国民連合政府」の実現は、日本の政治に立憲主義を取り戻すたたかいです。