2015年9月25日(金)
戦争法に一言もなし 民意敵視のあらわれ
安倍再選会見
24日の自民党総裁再選の記者会見で戦争法強行について一言も触れなかった安倍晋三首相―。空前の規模に広がった「戦争法案廃案!」の声は、強行直後から「廃止」を求める声に変わり、即座に全国でデモや集会が続き、そのエネルギーの巨大さを示しています。先週末の緊急世論調査でも、安保法「反対」が引き続き多数で、内閣支持率も3割台に下落しました。
法案を推進した最高責任者として、どんな内容であれ、テレビ会見でこの問題に言及することは最低限の責任でした。「最大の敵視は無視」という言葉がありますが、これほど民意を軽蔑、敵視する姿勢はありません。首相の会見で、メディア側からもこの点に一言の質問も出なかったことも、その劣化と責任感の低下について批判されて仕方ありません。
こうした異様な首相会見は、立憲主義・民主主義の破壊という、現在の政治状況の深刻さ、無法状態を、さらに強く印象付けるものでした。
他方、安倍首相は明文改憲について問われたのに対し、「日本国憲法は国の統治体制を規定する根本規範」と言い抜けつつ、来年の参院選挙でも明文改憲を掲げ、改憲発議に必要な3分の2以上の多数派形成を目指すと述べました。
安倍首相が、戦争法に代えて強調したのは「経済最優先」でした。「アベノミクスの新3本の矢」として、強い経済、子育て支援、社会保障をアピールしました。安倍政権は、先の国会で戦争法に先行して医療改悪や、労働者派遣法の大改悪を強行したばかりです。首相のいう「経済最優先」が大企業最優先、社会保障・雇用破壊であることは、多くの国民が実感をもって見抜きつつあります。
(中祖寅一)