2015年9月22日(火)
きょうの潮流
「史上最大の衝撃」「ラグビーはもはや一部のエリート国が支配する時代ではなくなった」。日本がW杯初戦で優勝候補の南アフリカを破った一戦は世界を驚嘆させました▼ラグビー発祥の地で歴史を刻んだ9月19日。その日は日本のラグビーを変革した大西鉄之祐の命日でした。体格で劣る日本が、いかにして世界とたたかうか。20年前に亡くなった大西が導き出した理論が「展開、接近、連続」▼ボールを素早く展開する。相手にはぎりぎりまで接近する。連続攻撃を仕掛ける―。小回りが利き、持久力や瞬発力に優れた日本人の特性を生かそうと編み出された戦術でした▼しかし日本は、強豪が集うW杯で負けを重ねます。前回まで7大会連続で出場しながら、1勝2分21敗。ニュージーランドに145失点の屈辱的大敗を喫するなど長く低迷してきました。4年前、代表の指揮官に就任したエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチはそこに進化をもたらしました▼代表資格を得られる外国人選手を積極的に登用。「世界一タフ」といわれる練習で80分間動き回れるスタミナをつけ、培ってきた日本らしい攻撃に磨きをかけました▼どんな分野でも、そびえ立つ巨大な壁に風穴が開けられたとき、その世界は生まれ変わります。日本の目標は予選を勝ち抜いてベスト8に入ること。次はあしたのスコットランド戦。「歴史は一つ変えたけど、この後にもっと大きく変えたい」(五郎丸選手)。世界中を興奮させた桜のジャージーの挑戦がつづきます。