2015年9月11日(金)
長く停滞し 大被害
関東に豪雨「線状降水帯」
関東地方では9日から10日にかけて長時間雨が降り続き、栃木県や茨城県に大雨特別警報が出されて多くの河川が氾濫し、家屋に浸水するなどの被害が続出しました。今回、関東地方に大雨をもたらしたのは、長く延びる降水域が長時間停滞したためです。
このような降水域をその形状から線状降水帯と呼んでいます。線状降水帯は集中豪雨の原因となることが多く、気象研究所の研究によると、台風による直接的な大雨を除き、集中豪雨事例の約3分の2がこのような形状の降水帯を持つといいます。
昨年8月に広島市に豪雨災害をもたらしたのも線状降水帯によるものでした。
9日朝、愛知県に上陸した台風18号は石川県などを通過して日本海へ抜け、同日夜、海上で温帯低気圧になりました。台風や低気圧の周りでは反時計回りに強い風が吹いています。9日から10日にかけて、日本海上の温帯低気圧に向かって南から関東地方や東北地方の上空に暖かく湿った空気が流れ込みました。
同時に、関東地方の上空には日本列島の東海上にある台風17号の影響で東よりの風が吹き込んでいました。二つの風がぶつかり合って大気の状態が非常に不安定となり、関東地方や東北地方に大雨を降らせました。さらに、日本列島の北にはオホーツク海の高気圧が張り出し、日本海海上の温帯低気圧や台風17号の動きが遅くなっていたため、関東地方や東北地方で長時間大雨が続きました。
この傾向は11日にかけて続くとみられ、今後、台風17号の接近に伴い、北海道地方でも大雨への警戒が必要です。 (間宮利夫)