2015年9月8日(火)
変ぼう自衛隊 沖縄に見る
米軍との法案先取り訓練日常化
特殊作戦ヘリ墜落があぶり出す
国民に隠れて戦争法案先取り訓練の実態を白日の下にさらした沖縄県沖での米軍特殊作戦ヘリ墜落事故(8月12日)。同乗していたのは、海外での対テロ作戦や武力行使を想定した自衛隊唯一の特殊部隊、陸上自衛隊特殊作戦群隊員でした。「研修」などの名目による米軍との軍事訓練から見えてくる自衛隊の変ぼうを、イラク戦争、アフガン戦争など地球規模での侵略と軍事干渉の出撃拠点となっている沖縄で見ました。(山本眞直)
戦闘服に銃を構えた数十人の自衛隊員と米兵が数隻のゴムボートを連ねて沿岸に接近。先頭のボートから波打ち際に飛び降り、銃を水平に構えて砂浜に上陸、周囲を警戒しながら次つぎに続くのはいずれも自衛隊員。自衛隊による安全確認を待って戦闘態勢で上陸する米兵たち。引き揚げるときも米軍の後でした。
「屈辱の日」に
今年4月28日、沖縄県金武(きん)町の米軍ブルービーチ訓練場での自衛隊による、在沖米海兵隊との水陸両用訓練の「研修」場面です。
自衛隊は沖縄の米軍基地で「研修」、共同訓練、幹部交流プログラムなどさまざまな名目で軍事訓練・演習を日常化させています。
沖縄での米軍、自衛隊に詳しい沖縄県平和委員会の大久保康裕事務局長は、指摘します。「先日の米陸軍特殊作戦ヘリの墜落事故で見せた自衛隊の戦争法案の先取り的訓練は、沖縄では日常化している。海兵隊との上陸訓練が行われた4月28日は、沖縄が日本から切り離された『屈辱の日』であり、自衛隊を米軍の武力行使に巻き込む『新日米ガイドライン』を合意、発表した日だ。ここに訓練の意図が見えている」
ケリー米国務長官はこの日のワシントンでの記者会見でこう力説しました。「本日、日本は、自国の領土のみならず、必要に応じて米国や他のパートナーを防衛する能力を確立した。日米の防衛関係での歴史的な変容だ」
市街地戦闘も
2014年4月に、日本共産党の赤嶺政賢衆院議員に防衛省が回答した県内の米軍基地での09年以降の日米共同使用による訓練実績の資料があります。
それによると海兵隊のキャンプハンセン(宜野座=ぎのざ=村、金武町、恩納=おんな=村)などでの使用回数は12年度が123日、13年度(4月から9月)で117日と増加傾向を示しています。
訓練は市街地戦闘、車両行進、宿営(いずれも48回)を筆頭に、爆破(32回)、偵察(30回)、防護(28回)、射撃、徒歩行進(ともに18回)などと続きます。
自衛隊はこうした戦闘習熟のため、宜野座村に米軍が建設したコンバット・タウン(教会や民家、銀行などに模した建物による都市型戦闘訓練施設)を08年3月から使用開始、実戦的な戦闘訓練を重ねています。
沖縄の地元紙「琉球新報」の松永勝利政治部長は言います。
「自衛隊問題は県民の目にふれにくいが、在沖米軍基地での自衛隊の訓練の実態は集団的自衛権の先取りであり、世界中の戦争のための訓練拠点になりかねない。県民は沖縄が加害の島になることを拒否するだろう」