2015年9月8日(火)
沖縄新基地協議「決裂」
政府は悪あがきをやめよ
沖縄県名護市辺野古の新基地建設をめぐる沖縄県と政府の集中協議は7日、全日程を終え、「決裂」(翁長雄志知事)という結果になりました。
工事再開、未来なし
なぜ、そのような結果になったのか。その責任は100%、安倍政権にあります。昨年の沖縄県知事選をはじめ、一連の選挙で示された「辺野古新基地ノー」の民意に逆らって悪あがきを続けてきたからです。民意に従えば、このような政府と県との亀裂は生じなかったのです。
翁長県政誕生により、新基地建設問題はもはや後戻りのできない状況です。
政府が工事を再開した場合、翁長知事は辺野古の埋め立て承認の取り消しに踏み切る意向を示しています。取り消した瞬間から、新基地建設の法的根拠は失われます。
政府は当然、「是正措置」などの対抗手段を取り、最終的には訴訟に踏み切ることが考えられます。ただ、最高裁判決が出るまで最短でも1年程度の日数はかかります。さらに、安倍政権がどんなに強権を発揮しても、司法を全面的に掌握して、確実に勝訴できるとは限りません。
技術的にも、多くの“困難”があります。
政府は7月下旬、辺野古埋め立て工事の一部(護岸)の設計図を県に提出しました。
しかし、肝心の埋め立て部分については、見通しが立っていません。埋め立ての前提となる海底掘削(ボーリング)調査が期限の9月末までに終わる見通しが立っていません。また、埋め立てに伴う河川(美謝川)の水路切り替えには、名護市の協力が不可欠ですが、稲嶺進市長は「辺野古の陸にも海にも新基地は造らせない」の立場を貫いています。
さらに、埋め立てには県外からの土砂搬入が不可欠ですが、県議会は7月、土砂規制条例を可決。環境汚染の疑いがある土砂の搬入は厳しい状況になっています。
工事を再開しても、多くの県民の抵抗にさらされ、再びゆきづまることは目に見えています。政府はこれ以上、悪あがきを続けるべきではありません。(竹下岳)
辺野古新基地・主な経緯
7・13 沖縄県議会、土砂規制条例を可決
7・16 県の第三者委員会が翁長知事に報告書を提出
8・ 4 政府が工事の1カ月中断(〜9月9日)を発表
8・ 7 知事、安倍首相が会談
8・12 県と政府の第1回集中協議(那覇)
8・18 第2回集中協議(東京)
8・24 第3回集中協議(那覇)
8・28 第4回集中協議(那覇)
8・31 県が辺野古の臨時制限区域で潜水調査開始
9・ 7 第5回集中協議(東京)