2015年9月8日(火)
派遣法改悪案は廃案しかない
政府・与党が8日にも採決強行をねらう労働者派遣法改悪案。「労働者を保護する」(安倍晋三首相)どころか、「派遣切り」を自由化する危険が浮かび上がっています。
「派遣切り」を自由化
現行制度では、原則1年、最長3年を超える派遣労働者が1人でもいれば、もう派遣労働者を受け入れることはできず、業務を続けたければ直接雇用しなければなりません。
派遣法では、派遣先が「労働契約の申し込みをしなければならない」(40条の4など)と明記。実際、2012年に厚労省が行ったアンケートで、派遣の期間制限を超えた場合、派遣先の53%が派遣労働者を直接雇用したと答えています。
こうした規定が改悪案でなくなります。
しかも、これまで“期間制限のなかった専門業務”の派遣労働者も新たに3年の期間制限の中に組み込まれます。こうした人たちを含め、派遣先は3年の上限期間が来れば、改悪によって直接雇用を申し込む義務がなくなります。49万人にのぼる“期間制限のない専門業務”に従事する派遣労働者を含め、126万人もの派遣労働者が再び、企業側の都合による勝手な「派遣切り」にあう危険にさらされるのです。
派遣労働者は失業するか、同じ派遣先で部署を変えて働くか、新たな派遣先で働くしかなくなります。
3年の上限期間について「派遣労働者が立ち止まって考えてもらう機会にする」という塩崎恭久厚労相に対し、日本共産党は「恒常的な業務なら直接雇用する。派遣先にこそ考えさせるべきだ」(日本共産党・吉良よし子参院議員、8月12日)と批判してきました。
「みなし」制度骨抜き
重大なのは、「派遣切り」を教訓に労働者の救済のためにつくられた「労働契約申し込みみなし」制度が、改悪案によって骨抜きされてしまうことです。
「みなし」制度は、違法派遣があれば派遣先が“派遣労働者に労働契約を申し込んだ”とみなして、派遣先に直接雇用させる制度です。10月から施行されます。
ところが、改悪案では、どんな業務でも期間の制限もなく派遣が使えるようになり、期間制限違反の「みなし」は発動されません。しかも、改悪案が施行されれば、本来なら適用されるはずだった、それまでの「違法派遣」も免罪され、「みなし」は発動されません。これまでの違法派遣も、これからの違法派遣もすべて免罪・合法化されてしまうのです。
「派遣先救済」法案としかいえない悪法は廃案にする以外にありません。(深山直人)