2015年9月4日(金)
人権侵害を拡大する
外国人技能実習制度改定法案審議入り 畑野議員が指摘
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外国人技能実習「適正化」法案が3日の衆院本会議で審議入りしました。法案は、外国人が日本で働きながら技能の習得をめざす技能実習制度を「適正化」し「拡充」を図るとしています。日本共産党の畑野君枝議員が質問し、「外国人技能実習制度は、技能移転と国際貢献を名目にしながら、実態は低賃金・単純労働力の受け入れという構造的矛盾を抱え、深刻な人権侵害を生み出してきた。『適正』『保護』をいうなら、この構造的矛盾を解決しなければならない」と主張しました。
技能実習制度は、当初から外国人労働力の供給手段とされ、ピンハネ、強制貯金、パスポート取り上げ、強制帰国、性的暴行など数々の人権侵害を引き起こしています。
畑野氏の指摘に対し、塩崎恭久厚労相は「一部、制度趣旨を逸脱した運用で国内外から批判を受けている」と答弁。上川陽子法相も「一部で制度趣旨が労働力の確保策と誤解され問題が生じている」と述べ、問題点を制度利用者のモラルにすり替え、構造的矛盾を解決する姿勢を見せませんでした。
畑野氏は、こうした人権侵害の背景に、母国での貧困・生活苦のもと、家族への仕送りの期待や憧れを持って来日する外国人労働者を食い物にするブローカー(あっせん機関)が存在し、「国際人身売買」と呼ばれる実態があると指摘。「母国の送り出し機関が、高額な保証金や違約金をとる悪質な行為を規制するべきだ」と迫りました。
上川法相は悪質なブローカーの存在を認めたうえで、「送り出し国政府の協力を得て、不適正な送り出し機関を排除する仕組みとしたい」と述べました。
畑野氏は、低賃金・低待遇に苦しむ実習生の実態を具体的に示し、「実習期間の3年から5年への延長、受け入れ人数枠の拡大、対象職種の拡大は、技能実習制度のもつ深刻な問題を拡大するだけだ」と指摘しました。