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2015年9月3日(木)

「後方支援」の危険 “はかり知れない”

陸自現役幹部 本紙に語る

統幕文書 独走・隠ぺいを批判

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 「政府と自衛隊は(海外での武力行使で)フリーハンドを求めている」。陸上自衛隊の幹部自衛官が、安倍政権が強行成立を狙う集団的自衛権行使のための「戦争法案」について本紙の取材に応じ、胸中を語りました。 (山本眞直)


写真

(写真)自衛隊の海外派兵での「駆けつけ警護」を初めて公言、戦争法案推進の先頭に立つ佐藤正久自民党参院安保特委筆頭理事(写真は、2007年の参院選公示で防衛省前での第一声)

 同幹部はこの中で日本共産党の小池晃参院議員が独自に入手し、暴露した統合幕僚監部の内部文書をめぐる安倍首相らの「シビリアンコントロール上、問題ない」との態度に、「法案をめぐって事前の検討はある」としながらも、「その内容は国会への報告、説明を通じて同時進行で国民に公開されるべきだ」と政府・自衛隊の独走、隠ぺい体質を批判しました。

 統幕文書に示された「駆けつけ警護」について、「問題は駆けつけ警護による事態の拡大がある」との不安、懸念を表明しました。

 統幕文書によればPKO(国連平和維持活動)で、外部との連絡・調整や現場周辺の警備や情報収集活動中に「たまたま戦闘に遭遇した」「弾がとんできた」として武器使用(国際的には武力行使)ができるとしています。

検証不可能

 「自衛隊は統幕文書の存在を隠し、都合の悪いことは隠ぺいし、国民に真実を伝えない。柳条湖、盧溝橋事件のように武力衝突をきっかけにどんどん拡大していった旧日本軍の歴史がある。“駆けつけ警護”の真相は秘密保護法で秘匿され、検証不可能だ。結果的に戦争拡大をアメリカと一緒に図ることも否定できない」

 同幹部は、戦争法案がかかげる米軍などへの「後方支援」の危険性について、自身の経験にふれ、「(前方と後方の)二つの戦場でのたたかいになる」と指摘します。

 「日米共同演習で『後方戦闘司令部』の戦闘作戦を体験した。これはイラク戦争やアフガン戦争での教訓から、米軍が自衛隊に求める戦闘概念だ」といいます。

 戦闘部隊への燃料、弾薬や水、食料を補給する兵たん部隊や施設が置かれる後方地域とよばれるエリアでも武装勢力や“非戦闘員による自爆攻撃”などで死傷者が絶えなかった経験から、後方戦闘司令部での戦闘作戦の指揮・統制の強化・重視が迫られている、というのです。

二つの戦場

 「自衛隊も後方司令部を置いてきたが、補給物資の統制が主。日米共同演習では戦闘作戦も想定し、上級幹部は“(前方と後方の)二つの戦場でたたかう”を繰り返していた。陸自には後方戦闘作戦の教範はなく、手探りの演習だった。安倍首相がいう“リスクは低くなる”はその場しのぎのでまかせだ。隊員のリスクは計り知れない」


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