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2015年9月1日(火)

農協「改革」法案に対する

紙議員の反対討論 参院本会議

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 日本共産党の紙智子議員が8月28日の参院本会議で行った農協「改革」法案(農業協同組合法等の一部改定案)に対する反対討論(要旨)は以下の通りです。


写真

(写真)反対討論する紙智子議員=8月28日、参院本会議

 (農林水産委員会が開いた)地方公聴会、参考人から出された意見は、不信感、疑問、不安ばかりで、賛同する意見は出ませんでした。私は2001年から農水委員会に所属していますが、これほど、賛成論が出ない改定案は初めてです。

財界と米の要望

 反対の第一の理由は、自主自立が基本である協同組合の原則をふみにじり、官邸主導の「改革」を押しつけたものだからです。

 質疑で明らかになったことは、農業組織の要望から出た改革でなく、財界、アメリカの要望に応えた改悪案だということです。

 地方公聴会、参考人質疑において、JA全中で自己改革案をまとめられたJA富山の会長は、「改革先にありき、従来の改革とは全く違う」と言いました。

 今回の改定案に対して、国際協同組合同盟=ICA理事会は「脱・協同組合化し、株式会社にしようとしている」と懸念を表明し、「必要な改革はJA自ら実施するよう」対応を求めました。自主自立であるべき組織に国が過剰に介入することは協同組合原則をないがしろするものです。

 また改定案は、家族農業と地域を支える総合農協に、企業の論理を持ち込み、営利企業化を進めるものとなっています。農協の目的から非営利規定を削除し、新たに農業所得の増大、高い収益性を実現し、営利を追求することを求めています。また、組合の理事の過半数は、認定農業者や販売、経営のプロにすることを求めました。すでに株式会社も認定農業者になれますので企業支配が強まる可能性があります。農協に対する全中監査を廃止し、新たに公認会計士監査、企業論理の監査を義務づけました。家族農業、地域の協同組合を変質させ、株式会社に近づけるものです。

 准組合員の事業利用に規制をかける見直し規定も問題です。農産物直売所、信用・共済事業、ガソリンスタンド、福祉事業など、農協は農村地域で総合的な業務を行っており、利用を規制すれば総合農協の経営は成り立ちません。

農業組織を解体

 反対の第二の理由は、農地の番人である農業委員会制度を骨抜きにするからです。

 公選制を廃止し、市町村長の任命制に変えれば恣意(しい)的な選任になりかねません。目的規定から「農民の地位の向上に寄与する」、業務から「農業、農民に関する意見の公表、建議」を削除することは、農業委員会の農民の代表機関としての権限を奪い、農地の最適化、流動化のみを行う行政の下請け機関に変質させるものです。

 反対する第三の理由は、農地法の一部改正で農地を所有できる法人の要件を緩和し、企業による農業、農地支配を一層進めるものだからです。

 2009年の農地法の改定で、企業はリース方式で農業に参入することが可能になりましたが、1060社の株式会社が参入し、すでに90社が撤退したことが明らかになりました。

 政府は、環太平洋連携協定(TPP)反対を訴えてきた農協組織を政治的圧力で解体しようとしています。農業組織の解体ともいうべき本法案の採決に強く抗議します。


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