2015年9月1日(火)
派兵拡大の姿勢鮮明
防衛省概算要求 異例の速度で基盤整備
2016年度の軍事費概算要求は、兵器の“まとめ買い”で将来予算を先食いして軍事力整備を急ぎ、戦争法案による海外派兵の大幅拡大に備える安倍政権の姿勢を鮮明にするものです。
安倍政権は、13年末に策定した「中期防衛力整備計画」(中期防、14〜18年度が対象)に沿って軍拡を進めており、16年度は中期防が対象とする5カ年間の3年目にあたります。
今回の概算要求が認められれば、P1哨戒機、垂直離着陸機オスプレイ、無人機グローバルホーク、イージス艦などは、中期防の整備目標を早くも達成(表)。対象期間の折り返し地点で、主要な高額兵器の導入にめどをつける異例の速度で軍事力整備が進みつつあります。
これを可能にしているのが、4月に成立したばかりの防衛調達長期契約特措法による“まとめ買い”です。同法は、財政法で原則5年以内とする契約から納入までの期間を、兵器購入などに限り10年へ延長しました。
防衛省は同法の成立後初めてとなる概算要求で、オスプレイを含む計3件への長期契約の適用を決定しました。
中谷元・防衛相は法案審議の際、「コスト縮減によって財政負担の軽減が図られるものに(適用を)限定する」と答弁していましたが、軍事費は全体として減っておらず、軍拡推進のための“まとめ買い”にしかなっていません。
また、オスプレイ1機あたりの単価も15年度予算の約103億円から約110億円に上昇しており、“まとめ買い”の節約効果も不透明です。
長期契約法によらない変則的な“まとめ買い”も顕著になっています。16年度に建造するイージス艦は15年度にシステム分だけを先行して調達。無人機グローバルホークも、3機分の機体を複数年度に分割計上して導入を進めています。
これらの兵器購入には、最長7年間にわたって、現中期防の対象期間外まで“ツケ払い”が生じます。そのため17年度以降に支払いが生じる「新規後年度負担」は2兆5648億円と高い数字を維持。16年度に払うツケ払い額を示す「歳出化経費」も増加の傾向をみせています。(池田晋)
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