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2015年9月1日(火)

きょうの潮流

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 「とてもテニスが出来ません」。戦前、遺書を残し自ら命を絶った名テニスプレーヤーがいます。佐藤次郎さん。四大大会で5回の4強入りはいまだ日本人最多を誇ります。1934年4月、デビスカップに向かう船上からマラッカ海峡に身を投じました。26歳、直前に婚約したばかりの痛ましさです▼その遺書が今年6月末、日本テニス協会でみつかっています。3枚の紙にしたためられた文面には慢性の胃腸病で集中できず、期待される成績を上げられない悲壮な思いがにじんでいました。「この醜態さ、何と日本帝国に対して謝ってよいか分かりません。その罪、死以上だと思います」▼当時、日本は十五年戦争に足を踏み入れていました。国の名誉がかかるデビスカップの欠場は許されず、「帝国」の期待に応えられないことが、重くのしかかっていました▼戦後70年、今夏は戦争を振り返る機会が多くありました。スポーツがそれに押しつぶされ、多くの選手が命を落とした事実を本紙連載「戦争とスポーツ」が伝えています▼テニスも例外ではありません。佐藤さんの死の5年後には、海外への大会派遣が中止され、42年には協会も解散を余儀なくされています。いま日本で戦争に道を開こうとする、きな臭さが漂う中、これらの史実が語りかける意味は小さくありません▼佐藤さんら先人を阻んだ四大大会決勝進出の壁は昨年、錦織圭選手が破りました。31日開幕の全米オープンでふたたび勇姿を追いかけたい。平和の重みをかみしめながら。


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