2015年8月30日(日)
DIOジャパン問題 補助金「不正」新たに判明
欠勤の講師料を請求
復興支援口実、国にも責任
東日本大震災からの復興のために「人材育成事業」として次々と子会社を設立したものの業務実態に疑問が持たれ、破産したDIOジャパン(東京都中央区)。本紙の「復興装い、補助金目当てか」のスクープ報道(2014年6月11日付)をきっかけに厚生労働省は「収入の未報告」などの不適正事案があったことを認め調査を行っています。新たに三重県の文書で、「不適正」ではなく、補助金の「不正」取得があったことが判明しました。この問題に取り組んできた福島県いわき市の渡辺博之日本共産党市議に寄せてもらいました。
福島・いわき市議 渡辺博之さん寄稿
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DIOジャパンは電話代行業務(コールセンター)などを行う目的で、11年度から14年度にかけて、東北など被災地を中心に19の子会社を設立し、国の緊急雇用創出事業から43億円の補助金を受けていました。事業内容は従業員の人材育成で、従業員の給料や研修での講師料、機材のリース料などが補助金でまかなわれました。
今回明らかになった不正は、講師料に関係する補助金についてで、南勢ユニオンの奥野忠書記長が情報開示請求で得た三重県の文書にはこうあります。
―緊急雇用創出事業により■(子会社名は非開示で墨塗り)で新規雇用された失業者が、志摩コンシェルジュセンターに社内講師として派遣されている。当該失業者の賃金は、■の緊急創出事業費から新規雇用の賃金として支給されている。講師料を志摩コンシェルジュセンターの同事業費に計上している場合、賃金の二重払いと成り得る。人材育成中であり、講師として不適切であった可能性がある。
同様な事例としては、いわきから花巻(岩手県)への派遣、愛媛西予から鶴岡(山形県)への派遣などが関係者の告発によって明らかになっています。三重県同様に、二重取りの可能性があります。
三重県文書はこうも指摘します。「外部より派遣された研修講師が『欠勤』していたにも関わらず、講師日報において『出勤』していたと虚偽の報告がされており、講師料が過大に請求された」
DIOが意図的に補助金を不正取得したことを示しています。
「しんぶん赤旗」は、自治体に返金する事業収入を隠すカラクリなどについていち早く告発してきました。これを受けて厚労省は「収入の未報告」の不適正事案としてきましたが、今回、詐欺的な不正が明らかになったことになります。
DIOは、補助事業が終わった子会社の従業員を大量に雇い止めにしてきました。昨年夏には160人の従業員への賃金未払いのまま子会社を閉鎖し、DIO自身も破産手続きをしています。厚労省は「不適正事案」の返金を市町に求めています。
南勢ユニオンの奥野書記長は「問題は全国で発生しており、厚労省も責任がある。市税で返金するのは許せない」とします。
いわきコールセンタの元従業員、草野友子さんは言います。「まともな研修もせず、事業が終わったら従業員を解雇するなど、補助金のために私たちは利用された」
同様な犯罪の再発防止へ厚労省や関係自治体は、徹底調査と刑事告発を含む毅然(きぜん)とした処分をすべきです。