2015年8月29日(土)
“全核実験の中止を”
国際デーに国連総長が声明
条約発効へ残り8カ国
29日の「核実験に反対する国際デー」に当たり、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は「核兵器のない世界を目指すために欠かせないステップ」とするメッセージを発表しました。包括的核実験禁止条約(CTBT)の発効に必要な8カ国に対して、同条約への署名や批准を行うよう求めています。
メッセージは、世界で初めての核実験となった米ニューメキシコ州での「トリニティ実験」から70年がたち、2000回を超える核実験で「中央アジア、北米、南太平洋の自然環境と人々が暮らすコミュニティーが影響を受けた」と指摘。地下水の汚染、がん、白血病、放射性降下物は「核実験による有毒な遺産の一部にすぎない」として、「過去の実験の犠牲者に敬意を表する最善の方法は、今後いかなる核実験も行わせないことだ」と訴えています。
1996年9月に国連総会で採択されたCTBTには、これまでに183カ国が調印し、164カ国が批准しています。しかし条約の実効性を確保するために、核能力を持つとされる44カ国が批准しないと発効しないとの規定があります。米国、中国、イスラエル、エジプト、イランが未批准、北朝鮮、インド、パキスタンが未調印です。
「核実験に反対する国際デー」は、1991年8月29日にカザフスタンにある旧ソ連時代のセミパラチンスク核実験場が閉鎖されたことにちなみ、カザフスタンが提唱して2009年12月の国連総会で全会一致で決定されました。