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2015年8月29日(土)

派遣法改悪案 みなし制度“期待権守る”の大臣答弁

厚労省が覆す見解

小池氏が批判

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 労働者派遣法改悪案での「労働契約申し込みみなし制度」の適用をめぐる問題で、厚労省は28日、参院厚生労働委員会理事懇談会に同省の見解を示した文書を提出しました。

 同改悪案付則第9条は、同改悪案の施行前に締結された派遣契約について「従前の例による」と規定しています。ところが、塩崎恭久厚労相は、みなし制度の施行を前提に結ばれた契約にもかかわらず、みなし制度は未施行だとして適用しない方針を示したため、27日の委員会審議が紛糾し、中断していました。

 厚労省が内閣法制局の確認をへて、示した文書では、この点について「改正直前の時点で現に効力を有しているものを指す」として、条文に明記されていない従来の説明を繰り返すだけ。未施行である法律の規定にたいする労働者の「期待」については、「そのまま施行されれば受益がある者の期待を保護する必要があるわけではない」などとして、「期待権を守る」と述べた塩崎恭久厚労相の答弁を覆しました。

 日本共産党の小池晃議員は「厚労省の『解釈』についての根拠はなんら示されておらず、大臣答弁にも反する」として、「何の説明にもなっていない」と批判。他の野党からも批判の声があがりました。

 一方、理事懇談会では、小池氏の質問途中で散会となった27日の審議で積み残しとなった質疑を9月1日に再開することを決めました。

 また、全野党がそろって年金問題をめぐる集中審議を9月3日に行うよう要求し、与党側は「重く受け止め、前向きに検討する」と答えました。

派遣法改悪案施行延期表明

あくまで「みなし制度」をなきものに…

労働者への背信

 与党が労働者派遣法改悪案の施行を9月1日から30日に延期する法案修正を表明したことは、「生涯ハケン」「正社員ゼロ」をねらう改悪案が招いた深刻な矛盾の表れであり、廃案以外にないことを示しています。

 改悪法を施行するには、41項目もの政省令の改定を労働政策審議会にかけなければならず、最低でも1カ月程度が必要です。

 さらに制度改定の周知期間も必要であり、30日施行の条件などありません。周知期間も置かず施行すれば混乱も避けられず、あまりにも乱暴なやり方です。にもかかわらず、9月30日施行に固執するのは、10月1日に「労働契約申し込みみなし制度」が施行されるためです。

 「みなし制度」は、違法派遣があれば、派遣先が派遣労働者に労働契約を申し込んだものとみなして直接雇用させる制度です。しかし、派遣法改悪案が施行されると、「期間制限」違反が生じなくなるため「みなし制度」は骨抜きにされます。

 厚労省は、派遣法改悪案施行前に期間制限違反があっても「みなし制度」は適用されないとの解釈を示していることから、経団連などは「みなし制度」の実施前に改悪案を施行するよう求めてきました。

 しかし、「みなし制度」は、「派遣切りノー」の世論と運動に押されて、自民や公明も賛成して導入されたものです。それを施行前になきものにすることは労働者への許されない背信行為です。

 改悪案は、塩崎恭久厚労相が、派遣労働の可能期間(期間制限)を何度でも延長できることを認めるなど、臨時的・一時的業務に限定し、正社員など常用雇用の代替に使ってはならないとした大原則を突き崩すことはだれの目にも明らかになっています。二重三重に労働者を裏切る派遣法改悪案はきっぱり廃案にすべきです。

 (深山直人)


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