2015年8月24日(月)
マイナンバー 年金との連結延期へ
きっぱり中止・撤回を
政府・与党は、国が国民の個人情報を一元的に収集・活用する国民共通番号(マイナンバー)制度と基礎年金番号との連結について、当初予定の来年1月から一定期間延期する方針を固めました。日本年金機構の情報流出問題で「再発防止策」を取るまで一定の時間を要することが避けられないためです。
今国会に提出しているマイナンバーの利用拡大法案に衆院で賛成した民主党が年金基礎番号との連結延期を求めていることもあって、政府・与党は、この要求を受け入れることで週内にも参院内閣委員会で採決をはかりたい考えです。
マイナンバーは10月から全国民に番号通知を開始し、来年1月から利用開始する予定。ところが政府は、施行もしていないのに、金融機関の預金口座や健康診断情報などにマイナンバーとの連結を拡大する法案を今国会に提出していました。
しかし、衆院通過後の6月、年金情報流出が発覚。個人情報保護に対する国民の不安が高まり、参院内閣委員会での審議が中断していました。
政府・与党は、厚労省や年金機構が流出問題に関する報告書をとりまとめたことから、さっそく審議再開に乗り出したものです。
基礎年金番号との連結の延期は半年から1年程度にする方向で検討しています。ただし、10月から始める全国民へのマイナンバー通知や、来年1月予定の利用開始は変更しない方針。年金についても、支給手続きなどに利用する考えです。
年金情報流出問題は、ひとたび漏えいすれば大きな被害をもたらすことを示しました。
年金にとどまらずさまざまな個人情報を連結するマイナンバーの危険性はいっそう明らかであり、基礎年金番号の連結だけを延期すれば解決する問題でないことは明らかです。
「再発防止策」といっても漏えい対策にとどまり、外部委託の拡大など個人情報保護に逆行する業務運営など根本要因はそのままです。マイナンバーの実施も利用拡大もきっぱり中止・撤回する以外にないことが浮き彫りとなっています。
(深山直人)