2015年8月24日(月)
出資金疑惑の武藤議員
離党で幕引き許されず
戦争法案成立ありきの自民党
安倍晋三首相と自民党は、戦争法案に反対する学生らを「極端な利己的考え」と攻撃し、出資金疑惑が浮上した武藤貴也衆院議員=滋賀4区=について、離党だけで問題をおさめようとはかっています。戦争法案成立のために早く幕引きをはかろうとする姿勢です。
『週刊文春』によると、武藤氏は知人らに「値上がり確実な新規公開株を国会議員枠で買える」と未公開株の購入を持ちかけて資金を集めながら、実際に株は購入されず、出資金も返済されていないとしています。
未公開株の販売ができるのは、当該未公開株の発行会社か登録を受けた証券会社だけ。武藤氏には金商法取引違反や詐欺の疑いが指摘されています。
首相“党任せ”
武藤氏は19日付で自民党に離党届を提出(同日受理)。『週刊文春』の記事に対しては「極めて恣意(しい)的に書かれている」としているものの、関与は否定していません。金銭トラブルだけでなくインサイダー取引などの違法性も疑われる以上、国会議員として明確な説明が求められます。
自民党候補として公認してきた同党の責任も問われます。違法の疑いがあるなら党として調査し、問題があった場合にはきちんと処分するのが公党としての責任ある対応です。離党すれば済む問題ではありません。
ところが、自民党総裁である安倍首相は21日の参院安保法制特別委員会で「私は政府の総理としての立場としては、事実を確認する立場にない」と答弁。「党としてこの案件についてどのような判断をするかは党に任せている」などと見てみぬふりの対応です。
暴言が相次ぐ
武藤氏も自身のフェイスブック(19日付)で、離党の理由を「平和安全法制が国会で審議されている重要な局面で、個人的なことでこれ以上党に迷惑をかけられない」と述べ、議員辞職は否定しています。
自民党内からはこの間、言論弾圧をあおる暴言や、戦争法案について「法的安定性は関係ない」と言い放った礒崎陽輔首相補佐官の発言など、世論の反発を招く暴言が相次いでいます。これに対し、麻生太郎副総理が「自分の気持ちを言いたいんだったら、法案が通ってからにしてくれ」と述べたように、安倍首相周辺に共通するのは、国民の声に向き合わず、とにかく“法案成立ありき”の立場です。武藤氏に対する安倍首相と自民党の態度もこれと同様で、政治的・道義的責任を負おうとしない堕落ぶりを示しています。
(北野ひろみ)