「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2015年8月23日(日)

自衛隊・統幕内部文書

首相・防衛相 正当化は成り立たない

「指示の範囲内」「内容に問題ない」というが…

国会に説明ないものばかり

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 戦争法案の「8月成立・来年2月施行」を前提に、自衛隊の詳細な運用計画を検討していた自衛隊統合幕僚監部の内部文書。日本共産党の小池晃議員が11日の参院安保法制特別委員会で暴露し、「重大な国会軽視」「軍部の独走」などといった批判が広がりました。ところが、安倍政権は“何が悪いのか”と開き直っています。(以下、質疑はすべて参院安保特でのもの)


表:自衛隊内部文書の経緯

 「資料の内容は私の指示の範囲内であり、文民統制上も問題はない」。中谷元・防衛相は19日、内部文書について、こう強弁しました。安倍晋三首相も21日、この見解を追認しました。

 中谷氏の説明によれば、戦争法案が閣議決定された翌日の5月15日、「法案の内容について一層分析、研究に努めるとともに、隊員に対しての周知を行うよう」指示。「私(中谷氏)の指示を踏まえて」統幕が作成し、同26日に防衛省内部部局や自衛隊の主要指揮官が出席したビデオ会議で資料の内容を説明したといいます(表)。しかし、この説明には重大な問題があります。

国会無視は明白

 まず、「分析・研究」というものの、文書には、戦争法案の成立を前提とした「主要検討事項」を列挙。単なる「分析・研究」を超えた具体的な計画が記述されており、国会無視は明らかです。

 しかも、「安保法案については国会審議が第一であり、法案成立後に検討を始めるものだ」という中谷氏自身の答弁(11日)と明らかに矛盾します。

 この点を突かれた中谷氏は「一般的に、政府は政省令の検討など、法律の成立前でも施行に必要な事項に係る研究作業を行う」と弁明しました。(19日)

 しかし、「一般論」ですむ問題ではありません。「自衛隊という実力組織を具体的にどう動かすかを事前に検討するのは、一般的な法律の検討とはわけがちがう」(小池氏)のです。

軍部丸投げ

 「文民統制上も問題がない」といいますが、中谷氏はこの内部文書について、小池氏が8月11日に暴露するまで、自らの「指示」以降、3カ月近く、読んでいなかったと答弁しています。(19日)

 これが事実なら、国民多数が反対する法案の「検討」を軍部に丸投げしていたことになります。「それでシビリアンコントロール(文民統制)ができているとは、笑わせるな」(小池氏、21日)というものです。

内容は重大

 「(内部文書の)内容に問題はない」。首相らはこう述べています。しかし、何より重大なのは、「内容」そのものです。

 小池氏が取り上げただけでも、法案の具体化で次のようなものがあります。(1)南シナ海への軍事的関与(2)来年3月から、南スーダンPKO(国連平和維持活動)派遣部隊が「駆けつけ警護」を実施(3)米軍等の「武器等防護」実施に伴う交戦規則(ROE)の策定…。これらは一切、国会や国民に説明していません。「(首相は)丁寧にと言うが、自衛隊の中でこれだけ丁寧にやっている」(小池氏、21日)だけなのです。

 重大なのは、戦争法案と一体で具体化が進む日米軍事協力の指針(ガイドライン)に関連して、米軍・自衛隊の指揮系統の中枢になる「同盟調整メカニズム」(ACM)の中に、「軍軍間の調整所」を設けることが初めて記され、中谷氏が19日、「軍軍」とは「米軍・自衛隊」のことだと認めたことです。

 首相は、「あくまで便宜的な表現であり、問題があるとは考えていない」と強弁。憲法違反の実力組織を「軍」と呼ぶことを当然視しました。(21日)

 安倍政権の下で実力組織が暴走し、米軍とともに海外で武力行使を行う…。戦争法案の危険性がいっそう浮き彫りになっています。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって