2015年8月21日(金)
中教審の特別部会 従来型「学力向上」を踏襲
学習指導要領改定へ 方法パターン化も
学習指導要領の全面改定へむけて審議をすすめてきた文部科学省の中央教育審議会(文科相の諮問機関)の教育課程企画特別部会は20日、改定の基本方向などを「論点整理」としてまとめました。学習・指導方法がパターン化して普及するおそれや、教師の創造性が視野にない教育課程づくりなどへの疑問の声があがっています。
「論点整理」は、「学力向上を着実に図りつつ、新しい時代に求められる資質・能力の向上という次の段階に進もうとしている」とし、従来型の「学力向上」路線を踏襲する姿勢を示しました。
同整理は「学習指導要領等は、学校教育法に基づき国が定める教育課程の基準」だと強調。子どもに「育成すべき資質・能力」については、学校教育法で示される「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「主体的に学習に取り組む態度」の「三要素」を「バランスよくふくらませる」とし、法令通りの学習を求めました。そのために「指導と評価の一体化」をすすめるとし、子どもの評価のあり方の改変を強調しています。
さらに、「特定の学習や指導の『型』に拘泥する事態を招く」おそれに触れる一方、「課題の発見・解決に向けた主体的・協働的な学び(『アクティブ・ラーニング』)」の推進を打ち出しました。また、各学校の教育課程などのあり方については「カリキュラム・マネジメントの確立」を盛り込んでいます。改定される学習指導要領等に基づき、教育内容や学習・指導方法、学習評価、学校組織の“改善をせよ”と迫るものです。
秋以降、「論点整理」の方向に沿って教科別・各学校段階別の検討を行い、2016年度中に、中央教育審議会が答申し、学習指導要領が改定される予定です。
学習指導要領 文科省が小・中・高校、特別支援学校の教科の枠組みやその内容、授業時間数などの取り扱いを示したもの。約10年ごとに改定されます。同省は法的な拘束力があるとし、各学校や教師への締め付けを強めてきました。