2015年8月18日(火)
逆行 「刑事司法改革」を問う
正体は国民監視立法
日本共産党衆院議員 畑野君枝さんに聞く
盗聴法の大改悪などを盛り込んだ刑事訴訟法等改悪法案は、自民、公明、民主、維新の4党の密室協議の末、採決が強行され、7日、衆院を通過しました。審議は参院に移りますが、これまで明らかになった法案の問題点と廃案の展望を、日本共産党の畑野君枝衆院議員に聞きました。(矢野昌弘)
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私は、緒方靖夫氏宅盗聴事件の住民訴訟原告として、警察による盗聴事件の追及に関わってきました。
今国会では、衆院法務委員会の委員として、盗聴法大改悪等の阻止のために、論戦にとりくんできました。
この法案は、盗聴法の大改悪など、国民を監視して抑え込む治安立法というべきものです。
もともと、法案に問われたのは冤罪(えんざい)の根絶でした。ところが、法案は「過度な取調べ依存からの脱却」、「世界一安全な国づくり」の名のもとに、捜査権力の拡大を狙った、盗聴法拡大、司法取引導入を柱とする一括法案であり、憲法が保障する人権を侵害する重大な問題があります。
盗聴“自由化”法
法案は、まさしく盗聴“自由化”法です。盗聴の対象を組織犯罪4類型に限定した現行法から、窃盗や詐欺などの一般犯罪に広げる。通信会社の立ち会いをなくし、警察施設で盗聴ができるようにする。しかも、“まとめ聞き”ができるというものです。
わが党の清水忠史衆院議員の追及で、現行法でも犯罪と無関係な通話の盗聴が85%を占めている実態がわかりました。私も、盗聴の網がメール、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に広がることを明らかにしました。犯罪と関係のない一般市民の膨大なプライバシーが警察の手に集まる危険性があります。しかも、弁護士、報道機関や国会議員も盗聴の対象となりうるのです。
緒方靖夫氏宅盗聴事件について「警察としては、違法な通信の傍受は過去にも行っておりませんし、今後も行うことはございません」と反省も謝罪もない警察に、人権侵害の盗聴の自由を認めるなど、断じて許すわけにはいきません。
4党の修正案では、盗聴の場に、その事件を担当しない警察官が立ち会って指導“できる”というものです。これは身内同士で監視する、まったく実効性のない“修正”です。維新の議員が賛成討論で「歯止めにもならない歯止め」と自嘲する内容です。
明確な憲法違反
日本共産党が論戦の軸にすえたのは憲法です。憲法21条2項通信の秘密、13条プライバシーの権利は、ひとたび損なわれれば、取り返しがつきません。
盗聴の本質は、犯罪と無関係な通信を根こそぎつかむ「盗み聞き」です。法案は、憲法の人権保障規定に明確に反するものです。
審議は、参院に移りますが、この法案が重大な憲法違反であることは、参院の審議のなかでより明白になるはずです。
法案の問題点を広く知らせ「民主主義の力」で、戦争法案とともに廃案に追い込んでいきたいと思います。