2015年8月16日(日)
安倍談話 海外から厳しい批判
重大な原則問題「ごまかし」批判
中国外務省
【ハルビン(中国黒竜江省)=小林拓也】中国外務省の華春瑩・副報道局長は14日夜、安倍談話についてコメントを発表し、「重大な原則問題でごまかしをすべきではない」と批判しました。
華副局長は「日本は、軍国主義による侵略戦争の性質と戦争責任に対し、はっきりした明確な説明を当然すべきであり、被害国人民に誠実なおわびをし、軍国主義の侵略の歴史と徹底的に決別しなければならない」と強調しました。
その上で、「中日国交正常化以降、日本が歴史問題で中国に行った厳粛な態度表明と約束を順守し、侵略の歴史を直視して深刻に反省し、平和発展の道を堅持し、実際の行動でアジア隣国と国際社会の信頼を得るよう促す」と日本政府に求めました。
中国の張業遂・筆頭外務次官は14日夜、日本の木寺昌人・駐中国大使を外務省に呼び、戦後70年談話に対する「中国側の厳しい立場」を伝えました。
「物足りない」
韓国大統領
【ソウル=栗原千鶴】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は、日本の植民地支配からの解放記念日である「光復節」の15日、ソウル市内で開かれた記念式典で演説し、前日に発表された戦後70年の安倍談話に対して、「物足りない部分が少なくない」と語り、談話が歴代内閣の立場は揺るぎないとした点について「一貫して誠意ある行動で裏付け、国際社会の信頼を得る」よう求めました。
朴大統領は、1965年の日韓国交正常化以来、日本が河野談話や村山談話などで表明してきた歴史認識が「日韓関係を支えてきた根幹だった」と指摘。高齢となっている日本軍「慰安婦」被害者の問題を、早期に解決するよう求めました。
「正しい歴史認識を土台にして、新しい未来へ一緒に進まなければならない時だ。北東アジアと世界の平和、繁栄のために一緒に貢献していくことができることを期待する」と語りました。
中身ない反省文
韓国市民団体
【ソウル=栗原千鶴】韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会は14日夜、安倍談話に関する声明を発表しました。「日本の植民地支配と侵略戦争の過程でおきた『慰安婦』問題をはじめとした反人道的犯罪行為の事実認定と、国家的責任を探し出すことのできない安倍談話は、中身のない反省文にすぎない」と厳しく批判しました。
同声明は、談話に植民地支配、侵略などの言葉は盛り込まれたが、謝罪は過去に行われたものであり、植民地支配の国家責任も取り上げなかったと指摘。「過去を明確に認め、心から謝罪し戦犯国の責任を履行することで未来に進むことができるという事実をいまも否定している」としています。
「日本軍が組織的に行った性奴隷犯罪である『慰安婦』問題に対する明確な記述さえ探し出すことはできなかった」「被害者の涙を止める意志さえない日本政府に、これ以上、平和を論じる資格はない」と酷評しました。