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2015年8月15日(土)

五輪後は民間委託

「新国立」見直し方針決定

関係閣僚会議

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 政府は14日、2020年東京五輪・パラリンピックでメーン会場となる新国立競技場の整備計画を再検討する関係閣僚会議(議長・遠藤利明五輪担当相)を首相官邸で開きました。五輪後の施設運営を民間に委託するほか、コスト削減策として開閉式屋根の設置を見送るなどの基本方針を決定。安倍晋三首相も出席し、8月中にもまとめる新計画の策定に向け、作業を急ぐよう指示しました。

 基本方針は、事業主体の日本スポーツ振興センター(JSC)が五輪後も管理・運営を担うとした従来の方針を変更し、施設管理・運営を民間事業者に委託することを明記。新競技場はサッカー、ラグビー、陸上競技の国際基準を満たす施設とし、原則としてスポーツ専用とします。

 政府は8月中にも総工費の上限などを盛り込んだ新計画を策定し、設計と工事を一括して行う国際コンペを実施して業者を選定。来年1月にも工事を発注し、20年春の完成を目指します。

新たな問題も

問われる国の責任

 2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の整備計画の見直しをめぐり政府が決定した基本方針は、工費が膨張した旧計画への国民の批判を受け、費用がかさむ開閉式屋根などを見送る一方で、五輪後の民間委託を打ち出すなど新たな問題も引き起こす内容です。

 方針は、建設については国が主体となる一方、維持費節減の名目で五輪後の施設運営は民間に委託するとしています。しかし、営利優先の民間任せでは、使用料などの利用者負担の設定や安全管理面での危ぐを拭い切れません。ある競技団体は、民間委託されることで「使用料が大幅に上がり、使えなくなることを懸念している」と話しています。国立の競技場として大会後の使用と維持管理も国が責任を持つべきです。

 観客席の規模について、政府内では、サッカーW杯を開く場合に必要とされる8万席を確保する案も検討されているといいます。五輪開催で条件とされているのは6万人です。どのくらいの規模にするのか、仮設をどの程度含めるのかは、今後さらに議論が必要です。

 その上で示唆的なのが、サッカー元日本代表監督の岡田武史さんの発言です。岡田さんは、遠藤利明五輪担当相との会談で「次にW杯がアジアに来るのは19年後。そんな先の、誰も責任が取れないことを言うより、東京五輪の後にどう使うのかを考えれば答えは出る」と指摘しています。

 景観と周辺環境への配慮も含めてさらなる検討が求められます。

 政府は「ゼロベースでの検討を行う対象は新国立競技場の本体の設計、施工のみだ」(遠藤担当相)と主張。従来の巨大施設案に基づく周辺整備のために、高齢の住民らが立ち退きを迫られている都営霞ケ丘アパートの廃止問題については置き去りになっています。

 「(そこは)都の都市計画」(遠藤氏)とするだけですむ問題ではありません。住民に一方的な立ち退きを求めることは、オリンピック憲章の「人間の尊厳保持」重視にも、住環境および居住への配慮を求めたIOC(国際オリンピック委員会)の「アジェンダ21」にも反しています。東京都とともに見直しへと動くべきです。

 (藤原直)


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