2015年8月14日(金)
「慰安婦」告白
24年前 ハルモニの勇気
韓国学生「受け継ぐ」
「8・14を記念日に」
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【ソウル=栗原千鶴】「とても勇気がある人だったと思う」「心が強い人。尊敬できる女性です」―。そんな言葉が大学生たちから次々と聞かれました。1991年8月14日に自ら「慰安婦」だったと名乗り出た金学順(キム・ハクスン)さん。8月14日をメモリアルデーにしようとソウル市内で12日、世界日本軍「慰安婦」メモリアルデー文化祭が韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会の主催で開かれました。
ソウル中心部にある市庁前広場に設置された舞台では、大学生のグループが歌や踊りを披露。被害者の証言を劇化した映像や金学順さんの写真も映しだされ、参加者は被害者に思いをはせました。
「慰安婦」問題解決に向けて活動し、同文化祭の運営を担当した「平和のチョウ・ネットワーク」の代表キム・セムさん(22)は「たくさんの人が来てくれて、感動しました。この様子を見て韓国の人が関心を持つきっかけにしてくれればうれしい」と語ります。1997年に亡くなった金学順さんとは会ったことはありません。でも「とても勇気がある人だったに違いない。声をあげてくれたハルモニ(おばあさん)の勇気を、私たちが引き継がなければ」と力強く語りました。
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91年当時、日本の国会では政府が「慰安婦」制度は軍(国)が関わっていたのではなく、民間業者がやったことだと発言。金学順さんは「そんなはずはない。生き証人がここにいる」と告発したのです。
以降、世論は大きく変わりました。同年12月、金学順さんは謝罪と賠償を求め日本政府を提訴。その後、フィリピンやオランダ、中国、台湾、インドネシアなどで被害者が声を上げ、90人以上が裁判を起こしました。
スタッフとして文化祭に関わった大学1年生のチョン・ジュヨンさん(19)はいいます。「(生存している)ハルモニたちが諦めていないのに、私たちが諦めるわけにはいきません。これからも運動を継続します。日本政府は、ハルモニたちの命あるうちに謝罪して、被害者の名誉を回復してほしい」
今月8日、米国に住む韓国人「慰安婦」被害者のパク・ユニョンさんが93歳で亡くなりました。今年に入り、8人が亡くなり、韓国政府が認定した283人のうち生存者は47人になりました。