2015年8月14日(金)
辺野古新基地集中協議
翁長知事 政府に全面反論
12日から始まった沖縄県と安倍政権による同県名護市辺野古への米軍新基地建設をめぐる集中協議は、翁長雄志知事と菅義偉官房長官の会談開始直前に米軍ヘリが沖縄海上で墜落するという異例の幕開けとなりました。第1回会合では、翁長氏が、相次ぐ墜落事故にもふれながら、沖縄の置かれた理不尽な状況と、政府の主張への全面的な反論を訴え、主要な論点が出そろいました。
菅氏は、辺野古問題の「原点」として、1996年に普天間基地(同県宜野湾市)の閉鎖を合意した橋本首相・モンデール駐日大使会談に言及しました。この間政府は、普天間の危険性除去が「政府と沖縄の共通認識」だとして、新基地推進の唯一最大のよりどころとしてきました。
これに対し翁長氏は、「原点」は戦後の米軍による土地の強制接収だとし、「奪った基地が世界一危険になったから、沖縄が(新しい基地を)出せというのは理不尽だ」と主張しました。
問題の「原点」に対する認識の違いは、政府の「負担軽減」策の評価にも表れました。菅氏がキャンプ瑞慶覧や牧港補給地区の返還実現に尽力する姿勢を示したのに対し、翁長氏はこれら基地の移設・返還時期を決めた2013年の日米合意では「たった0・7%しか(沖縄の基地面積は)縮小されない」と指摘しました。
政府は従来、在沖米海兵隊が抑止力の重要な要素であり、普天間基地のヘリ部隊を県外に移すと運用の一体性・機動性・即応性が失われるなどとして、辺野古新基地の必要性を主張してきました。
これについても翁長氏は、防衛相経験者や専門家の指摘をあげ、「抑止力を沖縄だけに頼るのはおかしい。理由にならない」と反論しました。
翁長氏は、政府が主張する沖縄の基地の「地理的優位性」や軍事的役割についても、根本的問題を突きつけました。
中東まで視野に入れた日本の集団的自衛権行使によって、「沖縄の基地は世界中を相手にしなければならなくなる」と指摘。冷戦時代より安全保障環境が厳しいとはいえない中で「基地拡充はおかしい」と述べ、「県民からすればとても耐えられない」と批判しました。
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