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2015年8月11日(火)

論戦ハイライト

参院予算委 TPP早期妥結優先でいいのか

中身隠し譲歩重ねる異常

紙氏、“日本だけなぜ急ぐ”
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 10日の参院予算委員会で、「大筋合意」に至らなかった環太平洋連携協定(TPP)閣僚会合(7月末)の矛盾点を追及した日本共産党の紙智子議員。早期妥結ありきで次々と譲歩案を出す日本政府の異常な姿勢を浮き彫りにしました。

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(写真)質問する紙智子議員=10日、参院予算委

紙氏「各国でも批判拡大で漂流」

首相「あと1回で決着」と妥結固執

 紙氏は、米ハワイでの閣僚会合で象徴的な対立テーマとなった医薬品特許の保護期間で、米国が自国の多国籍企業のため12年を主張する一方、日本以外の大半の国が安価な後発薬(ジェネリック)の製造のため米国に猛反発したことを指摘。米国内でさえ雇用の海外流出の不安から労働組合などの反対運動が広がっていることにふれ、安倍晋三首相に迫りました。

  各国でも「TPPで国益を守れない」と批判が広がって、閣僚会合で合意できなかったのではないか。

 首相 あと1回閣僚会合が開かれれば、決着できるところまできている。

 あからさまに早期妥結を目指す首相に対し、紙氏は、同会合でメキシコやニュージーランドも日米の強引な姿勢を批判していたことを紹介。これまで自由貿易か保護主義かの二者択一のレッテル貼りが行われてきたが、今やTPPは多国籍企業の利益優先と各国国民との矛盾の問題になっていると強調しました。

 紙氏は、米国議会の承認手続きを示し(下図)、9月末に妥結しても審議開始は来年の大統領予備選の時期と重なるため、「交渉は漂流しかかっている」と指摘。各国が妥協しない中で日本だけが早期妥結を急ぐのは、「来年の参院選の争点にしたくないからではないか」とただしました。

 甘利明TPP担当相は「(TPPが)漂流しないよう、期限を定めて参加国の思いが結集するようにという主張をしているだけだ」と国益より妥結を優先させる姿勢に終始。紙氏は、「選挙の時にはTPP『断固反対』といい、政権をとったら公約を破る。こんな姑息(こそく)なやり方で国民を愚弄(ぐろう)する交渉からは断固撤退を求める」と主張しました。

紙氏「最重要品目コメの輸入枠 5万トン増ならばいいのか」

甘利氏「最終的に国会で判断」

 「(国益より)自分の都合で考えている」―。紙氏は政府の姿勢を批判し、国民には中身を隠したまま、譲歩を重ねる日本の異常な姿勢をただしました。

 報道によると、米の輸入枠の拡大など農産物重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)を含む農業分野で日本側が大幅譲歩して最終調整(1面表)が行われています。

 紙氏は、甘利氏が「合意していないので交渉内容は答えられない」といいながら、記者会見では、米国が日本の米輸入枠を17万5000トンにまで拡大するよう求め、日本は米輸入枠を5万トン増やすと主張したと認めていることを指摘。次のようにただしました。

  はっきり数字をあげている。5万トン(の輸入枠)ならいいと思っているのか。

 甘利担当相 いいとか、悪いとか、いうことではなくて、(衆参)農水委員会の決議に従ってやっているつもりだ。最終的には国会で判断していただく。

 首相 国益にかなう最善の道をえるべく交渉を進めている。

 甘利氏も首相も、「聖域」とした農産物で譲歩を重ねながら、それを認めずに開き直る答弁に終始。甘利氏は、最後は国会が判断すればいいとの責任逃れの態度を取りました。

 紙氏は、日本がすでにミニマムアクセス(最低輸入機会)として年間77万トンのコメを輸入しており、米価暴落に苦しんできたことなどをあげ、「国会決議では、農産物の重要品目は『除外または再協議』だ。これ(日本の譲歩案)は国益に反する」と厳しく批判。TPP交渉からの撤退を重ねて主張しました。

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