2015年8月5日(水)
原水爆禁止2015年世界大会・国際会議
核兵器廃絶の流れは逆転不能
「広島、長崎に続く第3の被爆地をつくってはいけない。人間としての尊厳死すら与えられずに殺された人びと、今なお病気に苦しむ被爆者は、核兵器の廃絶を心から願っています」―長崎で4歳のときに被爆した小峰秀孝さんが訴えました。2日から4日まで広島市内で開かれた原水爆禁止2015年世界大会・国際会議は、核兵器全面禁止を求める圧倒的多数の声が核保有国を追いつめていることを示した核不拡散条約(NPT)再検討会議の成果を確信にして、核保有国が固執する「核抑止力」論を打ち破ろうという議論が繰り広げられました。(秋山豊)
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「核保有国への圧力」
国際会議は、核兵器の非人道性を理由にして廃絶を求めるアプローチが核保有国への圧力となっていることが次つぎと指摘されました。
原水爆禁止日本協議会の安井正和事務局長はNPT再検討会議について、最終文書を採択できなかったものの、核兵器の非人道性を告発し、全面禁止を求める声明に締約国の8割を超える159カ国が賛同したことを強調。「国際政治の場で、核兵器廃絶のコンセンサス(合意)を強めるとともに、多数の意思を結集し、核兵器廃絶を達成する実際のプロセスを開始する決意をしている。市民社会に支えられているこの流れは逆転不可能だ」と述べました。
英国・核軍縮運動のデイブ・ウエブ議長は、核兵器の人道的な観点から「法的措置」の実現をめざす「人道の誓約」に100カ国超が署名したことに言及。核兵器廃絶を求める圧倒的多数の国に、背をむけ続ける核保有国を批判しました。
NPT・ニューヨーク行動の成功に全力を尽くしたアメリカフレンズ奉仕委員会のジョゼフ・ガーソンさんは、車いすに乗った被爆者を先頭に日本と世界の人びとが国連まで行進し、アンゲラ・ケイン国連軍縮担当上級代表(当時)とタウス・フェルキ再検討会議議長に核兵器全面禁止を求める800万人の署名を手渡した意義を語りました。
「私たちの運動がこの70年間、核戦争を回避してきた。日本原水協と私たちの献身的な行動が、核兵器廃絶への国際的圧力を高めてきたことは称賛に値します」
「核抑止力」論の打破
追い込まれた核保有国がいっそう固執しているのが、「核抑止力」論です。それを打ち破ることの重要性も議論されました。
韓国・参与連帯のイ・テホさんは「市民社会と非核保有国の大いなる意志にもかかわらず、時代錯誤の『核抑止力』論に固執する軍事主義がはびこっている」と発言。核保有国とともに核依存国が大きな障害になっていると指摘しました。
日本共産党の緒方靖夫副委員長は、核兵器禁止条約を求める圧倒的な声を前に、「核抑止力」論にしがみつく核保有国が持ち出した切り札が「ステップ・バイ・ステップ」論だと強調。「この論を完膚なきまでに打ち破り、口にできなくすることが次の課題だ」と述べました。
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戦争法案ノーに賛同
ことしの国際会議の大きな特徴は、日本全国で空前の規模で広がる「戦争法案」ノーのたたかいに、海外代表からも賛同が相次いだことです。
「戦争法案で日本を変えようとする安倍政権の動きに、みなさんと力を合わせて抵抗します」。米ニュージャージー・ピースアクションのマデリン・ホフマン事務局長が、こう表明すると拍手がわきました。
70年前、戦争の危険と脅威の痛切な理解のもとに受け入れた平和主義を打ち捨ててはいけないと指摘。日本を新たな世界の「標準国」として、戦争を行わないで紛争を解決する手段を見いだし、真の平和へと先導するべきだと訴えました。
国際平和ビューローのコリン・アーチャー事務局長も、こう訴えました。「安倍首相の軍国主義は世界にとって深刻な危険のひとつです。だから、私たちは、戦争法案を覆すため、憲法9条を守る平和運動に連帯しているのです」
宣言採択し閉会
国際会議宣言は、核兵器禁止条約の交渉開始を求める世論を発展させるため国連核兵器廃絶デー(9月26日)や国連軍縮週間(10月24日から)などを節目とした共同行動を発展させ、被爆者への援護・連帯をすすめようと訴えました。
国際会議の閉会総会で世界大会実行委員会運営委員会の野口邦和共同代表は、こう呼びかけました。
「国際会議宣言の呼びかけにこたえて、核兵器のない世界の扉をひらく広範な運動との連帯をいっそう発展させよう」