2015年8月5日(水)
機雷掃海・潜水艦攻撃・停船検査
後方支援も制約なし
戦争法案 仁比議員質問
日本共産党の仁比聡平議員が4日の参院安保法制特別委員会で明らかにした「存立危機事態における海上作戦(例)」について、安倍晋三首相はいずれの作戦も戦争法案で可能になることを認める一方、首相自らの国会答弁を踏み越える重大な内容について「単純なイメージ図だ」などと苦しい弁明を繰り返しました。
|
首相 政府答弁からの逸脱認める
仁比議員 自衛隊で先に議論 大問題
仁比氏は、海自内部文書に示された四つの海上作戦のうち、機雷掃海と米艦防護は武力行使として行われるものだと指摘。中谷元・防衛相は「そのとおりだ」と答弁しました。
また、仁比氏は、作戦中の「後方支援」が重要影響事態法と派兵恒久法の2法案の「後方支援」とは異なり、「戦闘現場」では活動しないなどの制約が一切かからないと追及しました。
中谷防衛相は「自ら武力行使している状況下なので、そういう(制約がかかるという)ことはない」と認める一方、「後方支援は安全に行うことが大前提だ」などと繰り返しました。
戦闘現場で何が安全か
仁比氏は、「後方支援」を定める米軍等行動関連措置法案が「(米軍等の行動が)円滑かつ効果的に実施されるための措置」とするだけで何の留保もないことをあげ、「戦闘現場でやるのに何が安全か。法案担当相とは思えない」と批判。軍用品などを敵国に輸送する船舶の停船検査についても、軍事作戦の一環であり、戦闘に発展する危険性があることを指摘しました。
さらに仁比氏は、これら四つの作戦が同時にできるかと追及。防衛相は「同時に実施するか、一つやるかは、それぞれの状況・対応によるものだ」と法案で可能であることを認めました。
仁比氏は、政府がこれまで「事実上の停戦状態」でなければ機雷掃海はできないと説明していながら、図示されたような交戦中の機雷掃海もするのかと迫りました。首相は「基本的には戦闘行為が行われている最中に機雷掃海はできない」と否定しませんでした。
|
一方、安倍首相は「この概念図は、防衛省や官邸と認識を共有しているものでも全くない」と釈明。「実際に(集団的自衛権で)やれること、やろうと考えていることは(国会の)委員会等で述べてきた通りだ」と述べ、文書が自らの答弁内容を踏み越えていることを認めました。防衛相も文書に示された事例が「ただ単純にイメージとして書かれたものにすぎない」などと繰り返し、海自が独自に作成したものとの見方を強調しました。
仁比氏は、内部文書の海上作戦と新たな日米軍事協力の指針(ガイドライン)で合意された存立危機事態時の協力項目がすべて符合していることを指摘(表)。「この海上作戦はガイドラインそのものではないか」と追及しました。
日米指針と一致認める
安倍首相は「機雷掃海や米艦防護、後方支援、船舶の停船検査、いずれの活動も(審議中の)関係法令に基づき行われるものだ」と答弁し、新ガイドラインと一致することを認めました。
仁比氏は、「こういう運用を研究するのが、海自幹部学校の任務だ。法案審議中に(自衛隊)内部で先に議論しているのは、国会審議がひっくり返る大問題だ」と糾弾しました。