2015年8月3日(月)
TPP合意できず
“国民と地球に良いニュース”
米消費者団体が歓迎
【ワシントン=島田峰隆】環太平洋連携協定(TPP)の交渉閣僚会合で「大筋合意」ができなかったことが、米国で波紋を広げています。1日付米各紙は一斉に、交渉が今後漂流する可能性に言及、一方で米消費者団体などは大企業中心のTPP合意ができなかったことを歓迎しました。
経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルは「極端な場合、乳製品や他の難しい問題をめぐる意見対立が交渉を無期限に長引かせたり、交渉をまとめる政治的意思をくじいたりする可能性がある」と伝えました。
ワシントン・ポスト紙は「合意できなかったことはオバマ米大統領の敗北だ」「合意の取りまとめが遅れれば、最終合意が2016年までは米議会に送付されない可能性がより高まる」と指摘。
ニューヨーク・タイムズ紙は「米国以外のある交渉国の高官が指摘するように、もし交渉が長期に停滞するなら、多くの国はイエスよりもノーと言うようになるだろう」と報じています。
一方、TPPに反対する運動を広げてきた消費者団体パブリック・シチズンは、ハワイ州で開かれた閣僚会合が大筋合意に至らないまま閉幕したことについて、「(各国政府が)いちかばちかで必死で臨んだ最終段階の会合で合意できなかったことは国民と地球にとって良いニュースだ」と歓迎しました。
パブリック・シチズンで国際貿易を担当するロリ・ワラック氏は7月31日に声明を出し、「TPPは雇用、賃金、安全な食品、手に入りやすい医薬品などを脅かす。合意達成を望んでいるのは、ひんしゅくを買っている交渉担当者と企業利益を代表する米国の貿易アドバイザーだけだ」と指摘しました。