2015年7月30日(木)
育鵬社教科書を不採択
名古屋市教委 侵略美化 市民がノー
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来年4月から中学校で使用される歴史・公民教科書を決める名古屋市教育委員会の臨時会が29日、市役所庁舎内で開かれ、委員による無記名投票の結果、侵略戦争美化の育鵬社・自由社の教科書が不採択となりました。河村たかし市長が日本軍「慰安婦」や南京大虐殺の存在を否定する発言をしている中、市民の運動で押しとどめた成果です。
教科書展示会で中学校教科書に寄せられた市民の意見は1664通。前回と比べ5倍弱。審議の中で市教委事務局は「侵略戦争を美化し戦争を肯定する教科書はふさわしくないとの声が86%を占めた」とのべました。
複数の委員が「南京大虐殺の表現を避けたものが望ましい」「天皇が千数百年続いたことが他国にない特色」などの持論を展開。
別の委員は「歴史は事実を忠実に書くべきだ」とし、“アジア解放のための自存・自衛の戦争だった”とする「大東亜戦争」の記述が「国民を欺いた」と批判しました。
服部はつ代委員長は意見が割れたことを理由に無記名投票を提案。1回目の採決で教育出版3、育鵬社2、東京書籍1。上位2社による決選投票で教育出版が採択されました。
公民は1回の投票で東京書籍4、日本文教出版2でした。投票による教科書採択は名古屋市教委では初めて。
服部委員長は、教科書展示会で8割超が侵略美化教科書の不採択を求めていたことについては「多様な意見の一つとしての参考」としました。
傍聴席40に78人の希望者が殺到。小3の子を連れ審議を聞いていた女性(42)は「育鵬社に2票も入りびっくりしたが、多くの市民が反対の声をあげていることがわかりよかった」と笑顔で語りました。
名古屋市内の40代社会科教師は「戦争美化する教科書を授業で使うことになれば、お国のためという軍国主義のあやまった教育を繰り返しかねず、今回の結果はホッとした」と話していました。