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2015年7月29日(水)

兵たん 前方配置・戦闘力増進 「陸自教範」に明記

武力行使と一体そのもの

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 「戦争法案」では、イラク戦争のような戦争で、自衛隊が米軍などに弾薬や燃料の補給、武器の輸送などのいわゆる「後方支援」=「兵站(へいたん)」を行うとしています。安倍首相らは、それを「安全だ」と強弁しますが、本紙が入手した「陸自教範」では、兵站部隊は「できる限り前方で、主攻撃の支援に便利なように配置する」「(戦場での)戦闘力を維持・増進して作戦を支援する」などと“武力行使と一体不可分”の軍事行動であることを明記しています。 (山本眞直)


写真

(写真)「前方に配置」などと記述した陸自教範「兵站」

(拡大図はこちら)

 入手したのは、陸上自衛隊幕僚監部が監修した最新版「陸自教範 兵站」(2011年1月)です。兵站の役割について「作戦上必要とする物的資源などを確保し、適時適所に必要とする部隊などに提供するとともに、これを適切に管理して作戦・戦闘の基盤と可能性を付与する」と定義しています。

 「教範」は、「陣地攻撃」での兵站運用について、「戦闘の終始を通じて衝撃力を維持・増進することを主眼とする」としたうえで、こう力説しています。「攻撃の構想に基づき、主攻撃正面に支援努力を集中できるように計画・準備する」「攻撃開始以降は、主攻撃を重視して継続的な補給支援、整備支援を行い、間断なく部隊の戦闘力を維持・増進する」。まさに武力行使との一体化そのものです。

 同時に兵站は「安全な場所」で行うものではないことも明示しています。「兵站部隊はできるかぎり前方で、主攻撃の支援に便利なように配置するとともに、攻撃の進展に応じて、更に前方に推進し、あるいはその一部を第一線部隊に配属する」

 兵站について米海兵隊教科書は、「武力行使と一体不可分」と記述しています。「陸自教範」も同様の判断から、詳細に活動内容をあげているのです。

 「後方支援」―兵站は、政権与党が弁明するように「戦闘行為のない場所」「リスクの少ない」範囲内で行い、危険が迫れば簡単に撤収できるようなものではないことを、陸自の「教範」自身がはっきりと示しているのです。

 戦場では米軍戦闘部隊の作戦が最優先され、戦闘力を最高度に発揮させるための危険な補給・輸送が自衛隊に求められることになります。


  「教範」 陸・海・空自衛隊の行動、教育訓練を適切、有効に実施するための「教科書」。部隊の指揮運用、隊員の動作などについて詳細に示しています。


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