「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2015年7月28日(火)

タイ軍政 批判者を次々に軍事裁判所送り

弁護士団体 立ち向かう

「権力を国民に返せ」

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 昨年5月のクーデターから軍政が続くタイで、弁護士の有志団体「人権のためのタイ弁護士」(TLHR)が弾圧被害者支援の最前線に立っています。軍政を批判した人々が次々と軍事裁判所に送られる現状を「見せかけの司法」と非難。「権力を国民に返せ」と声を上げています。(面川誠)


 TLHRは昨年1月に活動を開始。クーデター後は、国家人権委員会が有名無実化し弾圧被害者の人権が守られていないことに危機感を抱き、軍政に立ち向かう活動に乗り出しました。参加する弁護士は20人を超えます。

 今年6月にTLHRが発表した報告書によると、クーデター後に700人以上が軍事裁判所に回付されました。王室批判を取り締まる刑法の「不敬罪」適用が目立つといいます。TLHRの弁護士が引き受けている48件のうち、23件は不敬罪の裁判です。

「脅迫中止せよ」

 今月14日に軍事裁判所は、ネット上に王室批判の動画を投稿したとして10人に禁錮5年〜3年の実刑判決を言い渡しました。10人の弁護を引き受けたTLHRメンバーのインチープ氏は現地記者団に、「動画の主な内容は政治批判だ。軍政反対者を脅すために不敬罪を利用して、軍政が王政守護に努力しているように見せたいのだろう」と語りました。

 反軍政団体「新民主主義運動」を結成して先月逮捕された大学生14人の支援に乗り出したシリカン弁護士もTLHRメンバーです。警察当局はシリカン氏と家族に対して、逮捕もありうると脅迫。これに対して国際司法裁判所(ICJ)の「裁判官と弁護士の独立センター」は今月2日、「タイ政府は直ちに人権弁護士シリカン氏に対する嫌がらせと脅迫を中止すべきだ」との声明を発表しました。

見せかけの司法

 TLHRは軍政下の裁判は「見せかけの司法」だと非難します。軍政が制定した暫定憲法44条によれば、軍政最高機関「国家平和秩序評議会」(NCPO)議長(クーデターの首謀者であるプラユット暫定首相が兼任)は、「国民の和合と調和を強化するため」との理由さえ付ければ、反対者を逮捕する命令を出せます。

 現在、TLHRが掲げている要求は、(1)軍事裁判所で民間人を裁くな(2)暫定憲法44条の発動を中止せよ(3)国民参加の憲法起草と総選挙の実施を確約し、早急に権力を国民に返せ―の三つです。

 TLHR代表のヤオワラク氏は、軍政と決して妥協しないと言います。同氏は現地英字紙ネーション26日付のインタビューで、「軍政から会談への招待が2回あったが断った」と明かし、「軍政が退けば、私たちも解散する。私たちはNCPOの正統性を認めない」と強調しました。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって