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2015年7月28日(火)

市田副委員長の代表質問 参院本会議

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(写真)代表質問に立つ市田忠義副委員長=27日、参院本会議

 日本共産党の市田忠義副委員長が27日の参院本会議で行った代表質問は次の通りです。

 私は、日本共産党を代表して安倍総理に質問します。

 政府が「平和安全法制」の名で提出した一連の法案は、衆議院での論戦を通じて、憲法が禁じている自衛隊の海外での武力行使を進める憲法違反の戦争法案であることが明々白々となりました。圧倒的多数の憲法学者、歴代の元内閣法制局長官、日本弁護士連合会など専門家をはじめ、国民の多くが、「憲法違反の立法反対」の意思を明確に示しつつあります。

 内閣が違憲立法を国会に提出し、それを批判する国民多数の声を踏みにじって衆議院での採決を強行したことは、憲法と国民主権の蹂躙(じゅうりん)そのものであり、立憲主義の原則に反する歴史的暴挙と言わなければなりません。

 総理は「PKO法の時も、日米安保条約改定の時も反対論があった」と述べました。国民多数が反対しても法案を強行するつもりですか。国民はいずれ怒りを忘却する、あなたがそう思っているとするなら、これほど主権者国民を侮辱する言葉はありません。自分だけが正しいという、独善の最たるものであり、独裁への道ではありませんか。

「戦闘地域」での兵たん――自衛隊員だけでなく国民を脅威にさらすことに

 法案は、米国が世界のどこであれ、アフガニスタン戦争、イラク戦争のような戦争にのりだした際、自衛隊が、これまで「戦闘地域」とされてきた場所までいって弾薬の補給、武器の輸送などの軍事支援――兵たんを行うこととしています。総理は自衛隊が攻撃されたら武器を使用することも認めました。

 陸上自衛隊幕僚監部が作成した「イラク復興支援行動史」には、イラク戦争でサマワに派遣された自衛隊が、一触即発の危険に直面したことが生々しく書かれています。当時の責任者は、そこでの活動は「純然たる軍事作戦であった」と述べています。なのになぜ、ただの一人も戦死者がでなかったのか。「行動史」は、活動地域が「非戦闘地域」とされたこと、任務が「人道復興支援活動」であったことが「隊員の安全を確保する基盤」だったと述べています。この二つの「安全基盤」を取り去って、「戦闘地域」で自衛隊が武器の輸送、弾薬の補給などの兵たんを行えば、相手方から攻撃される現実的危険が格段に高まることは、明らかではありませんか。

 現にアフガンでは、米軍の戦闘部隊への兵たんを行っている国際部隊がたびたび攻撃され、多くの戦死者をだしています。攻撃を受ければ応戦し戦闘になる。もし他国の国民を殺すことになれば、日本国民もまた憎悪の対象とならざるを得ません。現地に派遣される自衛隊員だけでなく、国民を脅威にさらすことになってしまうではありませんか。

PKO法改定――米国がRS任務への参加を求めてきた場合、拒否できるか

 PKO法の改定は何をもたらすか。形式上「停戦合意」がされてはいても、なお戦乱が続いている地域に自衛隊を派兵して治安活動をさせる。武器使用基準も、任務遂行のためのものも認めるなど、格段に拡大しようとしています。

 米軍主導の掃討作戦と事実上一体化し、3500人もの戦死者を出したアフガンの国際治安支援部隊(ISAF)のような活動への参加を、総理は衆議院での答弁で否定しませんでした。ISAFは昨年12月、アフガンの治安部隊を支援するRS(確固たる支援)任務に移行しましたが、いまなお42カ国1万3000人以上が参加しています。

 米国が、RS任務への参加を求めてきた場合、政府は拒否できますか。

集団的自衛権行使の容認――米軍の無法な戦争の手足となって武力行使

 そして集団的自衛権行使の容認です。

 日本政府の憲法9条に関するこれまでのすべての見解は、この60年間一貫して、「海外での武力行使は許されない」、集団的自衛権の行使は「憲法違反である」ということを土台として構築されてきました。ところが昨年7月の「閣議決定」とそれを具体化した戦争法案は、この立場を百八十度転換させました。それは日本の防衛とも国民の安全とも全く無縁のものであります。アメリカが無法な戦争にのりだした場合でも自衛隊が参戦し、ひたすら米軍の手足となって海外で武力行使を行おうとするものにほかなりません。そのことは、総理がなににも先んじて、この夏までの成立をアメリカの議会演説で約束したことを見ても明らかではありませんか。

憲法9条違反――政府自ら従来の法解釈を覆すクーデターともいうべき法体系の破壊

 現行憲法が持つこの70年の重みをもう一度かみしめるべきであります。

 戦後、一人の外国人も殺さず、一人の戦死者も出さなかったのは、日米同盟や軍事的抑止力のおかげではありません。世界に誇るべき日本の宝――憲法9条が存在し、平和を希求する国民の世論と運動があったからであります。

 世界の紛争地で、多くの日本人ボランティアのみなさんが、医療や生活支援の活動をされています。これらの人々が共通して語っておられるのは、「日本の自衛隊はこれまで一発も外国人に銃弾を撃っていない。一人も殺していない。だから、海外でのボランティア活動ができる」ということでした。総理は、憲法9条が国際貢献活動の安全の担保として機能してきたことをお認めにならないのですか。

 集団的自衛権行使が憲法9条の下では認められないということは、わが国において確立した法解釈であります。宮崎元法制局長官は国会で「集団的自衛権の行使容認は、限定的と称するものも含めて、従来の政府見解と相いれないものであって、これを内容とする今回の法案部分は、憲法9条に違反し、速やかに撤回すべきものである」と厳しく批判しました。本来、政府案は国会に提出できる内容ではなかったのであります。政府自ら、これまでの法解釈を覆す内容の法案を国会に提出する、これはクーデターともいうべき法体系の破壊ではありませんか。

 総理は、集団的自衛権について「戦争を未然に防ぐためのものだ」といいます。これほどの欺瞞(ぎまん)を私は知りません。阪田元法制局長官は国会で「集団的自衛権を行使するということは、進んで戦争に参加するということ。敵となる相手国にわが国領土を攻撃する大義名分を与えるということに他ならない。国民を守るというより、進んで国民を危険にさらすという結果しかもたらさない」と指摘しました。総理はこの指摘をどのように受けとめていますか。

軍事対軍事の悪循環は最も危険――憲法9条の精神にたった外交戦略こそ

 政府は、これまでの憲法解釈を変更する唯一最大の理由として「安全保障環境が根本的に変化した」ことをあげています。

 私たちの住む北東アジアには、北朝鮮問題や領土に関する紛争問題などが存在しています。しかし、軍事対軍事の悪循環に陥ることが最も危険であります。イランの核問題も軍事に頼らない外交努力で解決されようとしています。北朝鮮問題でも「6カ国協議」の枠組みに立ち返るなど、外交的解決に徹するべきであります。もっぱら軍事に依存するのではなく、平和の環境をつくりだすための憲法9条の精神にたった外交戦略こそ求められているのではありませんか。

国中に国民の声をとどろかせて希代の悪法の廃案へ全力

 戦争への道は、言論の封殺を伴って進められた。これが戦前、わが国がたどった歴史的事実であります。憲法違反の戦争法案をごり押しする安倍内閣のもとで、自民党の一部議員によるメディアへの恫喝(どうかつ)が表面化したことは、決して偶然ではありません。

 いま参議院は、違憲立法の成立に手を貸すのかどうか、が鋭く問われています。

 自民党の谷垣幹事長は、国会をとりまく「強行採決反対」「戦争法廃案」の声について問われ、「そういえばかすかに気配を感じていないわけではない」と述べられました。しかし、政府・与党がどんなに耳をふさごうとも、国民の声を遮ることは絶対にできません。国中に国民の声をとどろかせて、「海外で戦争する国」「殺し殺される国」にしないために、若者を再び戦場におくらないために、希代の悪法――戦争法案を廃案に追いこむために全力を尽くすことを誓って質問を終わります。


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