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2015年7月27日(月)

ナイジェリア 1年間ポリオ症例なし

根絶に希望 国挙げた取り組みで

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 ナイジェリアでは、新たなポリオ患者発生が止まってから、24日で1年間となりました。世界保健機関(WHO)の流行国リストから外れるとの期待が高まっています。

 広大な国土のナイジェリアでは、なかなかワクチン投与など予防の取り組みが進みませんでした。2005年〜09年にアフリカで発生したポリオは4039件で、うちナイジェリアは3729件と9割以上を占めました。

電話で追跡も

 また03年には、イスラム教徒の多い北部で、ポリオワクチンが避妊薬に汚染されているとの疑いから、イスラム指導層などによるワクチンボイコットの動きが広がりました。

 その結果、年間平均発症数が400(1998年〜2002年)から一気に750に激増。しかし、この逆流が、かえってポリオ根絶の取り組みを刷新する結果となりました。

 国レベルの責任者も交代し、首都や六つの北部州に緊急対応センターを設置。部族・宗教指導者、市民社会の団体、女性団体などが、ポリオに立ち向かいました。

 感染のおそれのある人を携帯電話で追跡するシステムもつくり上げました。実績が上がらない場合は行政を含め個人責任を追及。その結果、昨年7月以来、ポリオが1年間発生しないところまで前進してきました。

ほんの第一歩

 ちょうど同時期の昨年7月、リベリアからナイジェリアに到着したエボラ熱感染者が同国の病院で死亡。このときも患者と接触のあった人を特定し、感染者を隔離する上で、ポリオ対策でつくり上げた監視システムが役立ち、わずか4カ月でエボラ熱撲滅に成功しました。

 今後、WHOによって正式にポリオ流行国から外されるのは、8月下旬から9月上旬になる見込み。

 同国の科学アカデミー会長で、ポリオ根絶専門家委員会の議長を務めるオエワレ・トモリ教授は、「流行国のリストから外れるのは、ポリオ根絶国へのほんの第一歩。あと2年間ポリオ発症ゼロが続かないといけない。いまは太鼓をたたいてヤシ酒の祝杯をあげている時期ではない」と気を引き締めています。(伊藤寿庸)


 ポリオ 感染すると手や足に生涯にわたるまひが残るほか、死亡することのある感染症。特効薬がなく、予防策として経口ワクチンをできるだけ多くの子どもに服用させる必要があります。WHOが流行国と指定しているのはアフガニスタン、パキスタン、ナイジェリア。根絶に成功した天然痘に続いて、世界で根絶に近づいている感染症として取り組みが進められています。


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