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2015年7月21日(火)

育休退園問題

自治体・国の責任は

待機児童の解消こそ

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写真

(写真)育休退園の方針撤回を求めて提訴した所沢市の保護者ら=6月25日、厚生労働省


 4月から始まった子ども子育て支援制度に伴い埼玉県所沢市が、育児休業を取れば保育所から退園する「育休退園」制度を導入したことが大きな問題になっています。

 所沢市はこれまで、育児休業中でも施設長の判断で継続して入所できました。しかし、4月から一律、「0〜2歳児は原則退園」としました。

保護者が提訴

 所沢市は、「育休中は家庭での保育が可能で保育の必要性に該当しない」と主張。これに対し保護者は保育を受ける権利や育休を取る権利を侵害するとして、方針の撤回を求める訴訟を起こしています。

 新制度では、保育の必要性の理由に「育休」を明記したうえで、小学校入学を控えているなど「発達上、環境の変化に留意が必要」な場合などを、保育の継続が必要だとしました。所沢市の方針は新制度の趣旨に反するものです。

 内閣府は、「育休」を加えたことについて「これまで決まりがなかったものを明記したもので、今やっていることを制限するものではない」と説明しており、千葉県八千代市のように、新制度を機に育休退園を撤回した自治体も生まれています。所沢市の逆行は明らかです。所沢だけではありません。5歳児未満は原則退園としてきた岡山市は、新制度となっても育休退園を続ける姿勢です。

 これに対して国は「自治体は地域の実情を踏まえ、円滑な制度の実施をしてほしい」(有村治子少子化対策担当相)というだけ。所沢市の対応についても「地域によって抱える事情が違う。入所を待っている人とのバランスもある」(内閣府)と判断を自治体に丸投げする姿勢を示しています。

少ない入所枠

 問題の大本には、少ない保育所の入所枠を奪いあう待機児童問題があります。

 全国保育団体連絡会の実方伸子事務局長は、「保育が必要な理由に『育休』を明記したのは、それが全国的な流れになっているからです。子どもへの配慮から臨機応変に継続保育で対応している自治体は多く、一律退園させるとする自治体は、認可保育所の整備こそすすめるべきです」と指摘します。

 国は、新制度で保育の受け皿を増やすとしていますが、株式会社の参入や自治体任せです。実方氏は「国の責任で緊急整備計画を立て、財源を確保して認可保育所の抜本的な増設を進めるべきです」と強調します。

(鎌塚由美)

育休退園制度がある自治体

 岡山市、熊本市、静岡市、平塚市、所沢市など

新制度を機にやめたところ

 千葉県八千代市、神奈川県鎌倉市(2014年度から)など


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