2015年7月19日(日)
きょうの潮流
誰のための、何のための五輪なのか―。3年半前、2020年東京五輪の計画が公になったとき、国民・都民を軽視する内容や姿勢に本紙スポーツ部の記者が疑問を投げかけていました▼主会場を新国立競技場に変更することを含め、新規会場は20にも。共産党の都議は五輪を名目にした巨大開発や建設に警鐘を鳴らしました。その後、計画の見直しが進みましたが、国立競技場の工費は膨れ上がっていきます▼「美醜や好悪をこえて、スケールがあまりにも巨大」。世界的な建築家の槇(まき)文彦さんは新国立の案を最初に見たときの印象をこう語っていました。巨額の税金が投入されるコスト、景観や安全面。槇さんをはじめとする専門家や市民団体からは危ぐの声が次々と▼ずさんで無責任な計画を白紙に戻させたのは、異議を唱えてきた市民や世論のひろがりです。それに背を向けつづけ、ここまで手をつけず、国際的な信用も落とした責任は安倍政権にあります▼強行政治の行き詰まりはとどまりません。戦争法案でも沖縄でも原発でも。主権者の思いや願いをことごとく置き去りにしてきた自公政権は、この国から浮き上がり、民意との溝を深め、孤立しています▼いま列島で一斉に沸き上がる“アベ政治を許さない”の大声。呼応し、ビラを手に取り、署名する人びと。党創立記念講演で志位委員長は呼びかけました。戦後70年を経てつくりだされた国民の平和と民主主義を希求するエネルギーがいかに巨大なものか、そこに自信をもとうと。