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2015年7月18日(土)

戦争法案に「自然成立」なし 帰すう決めるのは国民だ

政治部長 高柳幸雄

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 「憲法守れ! 未来を守れ!」「戦争する総理はいらない!」―国会を包囲する地響きのコールがわきおこる。しかも列島各地で。安倍晋三首相が敵視し葬り去ろうとしている日本国憲法を力に、世代を超え、思想・信条の違いを超えた戦争法案反対の巨大な国民のたたかいです。「政治を決めるのは国民」という、憲法の大原則が明確な姿となってあらわれています。

大手紙の政治観

 ところが、一部メディアは驚くような報道です。与党の強行採決で衆院通過(16日)した戦争法案についてNHKは「法案成立の公算が大きくなった」とテロップや解説を繰り返し流し、「読売」「日経」「産経」も「今国会の成立が確実となった」(17日付)と報じているのです。ここには、政治を動かす可能性をはらんだ国民のたたかいの視点はまったくありません。政治はしょせん、政権党・政治家の思惑や駆け引きによって決まる、という古い政治観です。「成立確実」の報道は、国民に「反対をあきらめろ」といっているに等しいものです。

 そもそも、国会のルールからみても自動的に戦争法案が「成立」するものではありません。予算案や条約案は衆院の議決・承認から30日以内に参院で議決しない場合は、「自然成立・承認」となりますが、法案にはその「自然成立」がないのです。安倍政権が戦争法案を「成立」させようとすれば、衆院で与党単独が行った強行採決を参院で再び行うか、衆院で3分の2以上の賛成での再議決を使って強行採決するか以外に道はありません。

 衆院での強行採決は、戦争法案反対の国民の空前のたたかいに追い詰められた与党が、逃げ込んだ道でした。「強行採決でマジに安倍政権を倒したくなった。おれたちの未来を勝手に決めるな」。SEALDs(シールズ=自由と民主主義のための学生緊急行動)の国会正門前集会に初参加した都内大学の男子学生の怒りです。強行採決は国民のたたかいを発展させる契機となり、安倍政権の包囲網がさらに広がっています。「政府・与党を、強行採決できないような力関係に追い込めば、法案を廃案にすることができる」(日本共産党の志位和夫委員長)展望が広がっています。

 戦争法案で国民の世論と運動に追い詰められる安倍政権は、同時に焦点となっている国政問題で大きな国民的矛盾に直面しています。沖縄県名護市辺野古の米軍新基地建設をめぐっては、前知事の埋め立て承認を検証していた県の第三者委員会が「法律的瑕疵(かし)が認められる」とした報告書を翁長雄志知事に提出。県が埋め立て承認の取り消しに踏み切れば、辺野古新基地建設に伴う埋め立て工事の法的根拠がすべて失われます。8月上旬に再稼働を狙う九州電力川内原発(鹿児島県)でも再稼働を許していいのかの大問題が問われるのは必至です。巨費がかさむ新国立競技場建設計画が「白紙撤回」に追い込まれたのも見直しを求めた世論の力でした。

国民こそ主権者

 あらゆる分野で国民のたたかいを発展させ、合流させていくことによって安倍政権はいよいよ行き詰まり、それは戦争法案を廃案・撤回に追い込む力となるのは間違いありません。

 主権者は国民、国民こそ政治を動かす―「しんぶん赤旗」はこの立場で、戦争法案廃案にむけた国民と日本共産党のスクラムを報じていきます。


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