2015年7月17日(金)
きょうの潮流
自公による強行採決の後、多くの憲法学者がマスメディアで安保法案は「違憲」と改めて批判しています。その1人、長谷部恭男・早大教授は「立憲主義の危機がまた一段と深まった」と▼自民党推薦の参考人として呼ばれた憲法審査会の場で違憲と明言し、注目された同教授。このタイミングでの強行を、アメリカと先に約束してしまった安倍首相の個人的な事情でしかないとし、「主権者たる国民をどう考えているのか」と苦言を呈しました▼日本ペンクラブ浅田次郎会長は「法治国家としての基礎すらも失いつつある」。国民の意思によって定められた法にもとづき国政は行われる―。その大原則が崩されようとしていることに強い危機感を抱いているのです▼立憲主義や国民主権は、時の権力者によって多数の人びとが翻弄(ほんろう)され、苦しめられてきた歴史から導き出してきたもの。衆院本会議の反対討論で志位委員長は力を込めました。「立憲主義を否定し、法の支配を無視した政治の行き着く先は、独裁政治にほかならない」▼沖縄では、圧倒的な反対の声に加え、第三者委が辺野古の埋め立てに「瑕疵(かし)がある」と結論づけた基地建設をごり押し。さらに国民多数が反対する原発再稼働の動きも着々と。日本の主権をアメリカに売り渡すTPP交渉にも密室協議のまま参加しようとしています▼首相みずから国民の理解が得られていないと認めながら「私が正しい」とばかりに突き進んでいく。そんな独裁政治が長続きするわけがありません。