2015年7月11日(土)
「純然たる軍事作戦」
穀田氏追及 イラク「行動史」全容判明
衆院安保特
「戦後最も戦場に近い海外派遣」と言われた陸上自衛隊のイラク派兵(2004〜06年)の経験と教訓を克明に記録した内部文書「イラク復興支援活動行動史」(2008年5月)の全容が判明しました。日本共産党の穀田恵二議員が10日の衆院安保法制特別委員会で独自に入手した同文書を示し、「非戦闘地域」とされた場所でも戦闘に至る寸前だったことを告発しました。 (関連記事)
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中谷元・防衛相は文書の巻頭言で、第1次イラク復興支援群の番匠幸一郎群長(当時)が、イラク派兵について「純然たる軍事作戦だった」「軍事組織としての真価を問われた任務」と述べていることを認めました。
穀田氏は、イラク特措法では「自己保存」の武器使用権限しか認められていなかったにもかかわらず、文書の黒塗り部分には従来行っていなかった「至近距離射撃」と、敵に銃を連続射撃する「制圧射撃」の訓練が重点的に行われたと記述されていることを指摘。中谷氏は、「(記述が)事実だ」と認めました。
穀田氏は、制圧射撃が「敵に損害を与え」(防衛省規格・火器用語集)るためのものだと指摘。2005年12月には、部隊の車列が群衆に取り囲まれ、銃を所持する現地民も含まれていたと記述されていることをあげ、「イラク人を殺傷する寸前だったのではないか」と追及しました。中谷氏は、「武器の使用は確認されていない」と述べるにとどまりました。
さらに穀田氏は、相手が発砲していなくても「危ないと思ったら撃て」との指導までされていたことをあげ、「自己保存」の武器使用など通用しない危険な状況だったと指摘。戦争法案で「非戦闘地域」の枠組みがなくなり、治安維持活動まで認めれば、「殺し殺される」状況になるのは明白だと強調しました。安倍晋三首相は「厳格な武器の使用の制限について訓練を重ねてきた」などと言い放ちました。
政府、国会に黒塗り文書
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政府は穀田氏が入手したのと同じ文書を国会の資料要求に対しては、一部黒塗りにして提出しています。
穀田氏は国会に対しては黒塗りの文書しか提出されていないことについて、「法案の議論があるからこんなことになったのではないか」と政府が事実を隠そうとしている可能性を指摘しました。すでに公の出版物でとりあげられている文書でありながら国会議員が資料請求したら黒塗りにするのは、はなはだしい国会軽視です。
穀田氏は「法案を審議する上で、イラクで何が起こっていたかは全議員に提示する必要がある」と述べ、「行動史」を国会に全面開示し提出するよう要求しました。