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2015年7月7日(火)

徹底批判!戦争法案

「切れ目なく」米国の戦争に参戦

基準曖昧 政府の裁量次第

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 「国際平和共同対処事態」「重要影響事態」「存立危機事態」

 戦争法案には、海外派兵のための「事態」が乱立しています。いずれも「地球の裏側」まで自衛隊派兵が可能。「事態」は重なり合い、その時々の法的根拠や国際情勢に応じて「切れ目なく」米国の戦争に参戦できる仕組み(図)となっています。

国連決議は口実

 派兵恒久法案のなかで、自衛隊が世界中で米軍の武力行使を支援する要件が「国際平和共同対処事態」です。その中身は「国際社会の平和及び安全を脅かす事態」というもので広範漠然としています。同事態に対して、軍事対応を求める国連決議(総会決議または安保理決議)のあることが派兵の基本的条件です。この国連決議に基づく派兵は「湾岸戦争型」の派兵となりますが、国連集団安全保障活動への参加禁止と矛盾します。

 重大なのは、軍事的制裁を求めていない国連決議でも、米軍支援の派兵が可能な仕組みであることです。

 例えば、2001年の9・11テロ後に米国は「自衛権」を口実にアフガン報復戦争を仕掛けました。このときの国連決議1368は、テロ実行者を裁く国際社会の努力を求めたもので、軍事的措置を求めてはいませんでした。政府側は、このような決議さえあれば、米国の一方的な戦争への支援が可能だと、日本共産党の赤嶺政賢議員の追及(6月5日の衆院安保法制特別委員会)で認めました。

 また現在、過激組織ISに対し、イラクやシリア領内で行われている米国主導の有志連合による空爆について、米国は両国政府から要請を得ていると説明。昨年8月15日の国連決議は、軍事的措置ではなくISに対する「資金調達の防止措置」などを要請するだけなのに、空爆支援が可能とされています。

国会承認も不要

 戦争法案は、そのような国連決議すらなくても、米国の戦争に参戦するカードを用意しています。それが、地球規模で米軍や他国軍の「後方支援」を行う重要影響事態法案(周辺事態法の改定)にある「重要影響事態」と、集団的自衛権行使=全面的武力介入の要件になる「存立危機事態」です。

 これらは、「日本の平和と安全」を守るという名目ですが、中東・ホルムズ海峡に関する政府答弁からも明らかなように、日本の軍事的危機がまったくなくても発動され、「緊急性」を口実に国会の事前承認なしでも派兵されます。

 米国の違法な先制攻撃にも先陣を切って参戦可能です。

 03年のイラク戦争では、軍事攻撃を根拠付ける国連決議は存在しませんでした。米国は「大量破壊兵器保有」の疑いと、決議の存在を強弁して侵略しました。日本はこれを支持し、米軍支援のための派兵を行いました。

 日本共産党の志位和夫委員長が、イラク戦争の検証・総括を行っているのかと追及しても、安倍政権は検証の事実も示せませんでした。(5月28日、衆院安保特別委)

地球の裏側まで

 最大の問題は、三つの「事態」を認定する基準が曖昧で政府の裁量次第だということです。本来、日本の平和に関連のない紛争は世界のどこでもありうるので、「国際貢献」を目的とした派兵恒久法のカバーする範囲は、「重要影響事態法」より広くなるはずです。

 しかし、国連決議がなく恒久法が発動できない場合にも、米国が戦争を起こせば「日米同盟」を介して「重要影響事態」「存立危機事態」とされ、文字通り「地球の裏側」での戦争参加が可能となるのです。(池田晋、中祖寅一)

図

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