「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2015年7月2日(木)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 お伊勢参りはかつて江戸から片道約15日も歩く、一生に一度の旅行でした。庶民の参詣が盛んになった江戸時代、彼らは街道のあちこちを見物し、各地の名物を食し、土産を買い求めました▼さまざまな地域や人との出会い、触れ合い。多くを見聞し、発見し、学んだ長い道中にこそ旅の格別な楽しみがあり、醍醐味(だいごみ)があったのでしょう。まさか、その道中でこんな目に遭おうとは▼白昼の新幹線で起きた焼身自殺による火災。熱風と黒煙に包まれて亡くなった女性は、お伊勢参りの途中でした。自身のフェイスブックには「今年、早くも折り返し。今日はこれまでの平穏無事のお礼参りに伊勢神宮へ伺います」と書き込んでいました▼死者2人、重軽傷者26人。惨事を引き起こした71歳の男性はポリタンクにガソリンのような液体を入れて持ち歩き、それを自らかぶって火をつけたと、乗客らが証言しています。JR各社は危険物の持ち込みについて対策を話し合うことに▼東海道新幹線の1日の利用客は約42万人。ピーク時は3分間隔の過密ダイヤです。新幹線全体では年間3億人以上が利用し、手荷物をすべて調べることは難しい。警備態勢の強化や規制にも限界があります▼自殺した男性は日頃から周りに年金が少なくて生活が苦しいと漏らしていたそうです。どんな苦悩があって命を絶ったとしても他人の命を巻き込む理由にはなりません。巻き添えになった整体師の女性の夢は「人の心と体の痛みを治す人になること」だったといいます。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって