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2015年6月30日(火)

新国立総工費  巨大構造で膨張

財源なく見切り発車

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 見切り発車の観は否めません。

 下村博文文科相は29日、2020東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場の総工費を約900億円増の2520億円と公表しました。

 建設費は、北京五輪の鳥の巣(400億円)やロンドン五輪の主会場(600億円)と比べて、あまりに高額です。理由は開閉式屋根を支える、2本の巨大なアーチ構造にあります。

 もともと開閉式屋根は競技に必要なものではありません。年間35億円とされる競技場のばく大な維持管理費をコンサートも開催してまかなうためです。

 組織委員会の森喜朗会長は、開閉式屋根について「五輪後、どのようにしていくかはこれから協議するだろう。それによっては必要になってくるかもしれない」と、設置しないこともあり得るとも取れる発言をしています。

 できるか分からない開閉式屋根のために、巨大構造物を造り、それが建設費を押し上げ工期も延ばす―。あまりにも無計画、無責任といわざるを得ません。

 財源が確保されていないことも深刻です。東京都の一部負担額は決まっておらず、事業費のめどはたっていません。膨らんだ総工費の不足分を国が負担する確約もありません。財源を問われた遠藤利明五輪担当相は、「国の財源以外に国民のみなさんに協力いただく方法はないか考えていきたい」と答えるにとどまりました。

 森会長は、現行のデザインにこだわる理由を「五輪招致で支持を獲得できた大きなポイントはあの新国立競技場の姿のはず」と説明します。新国立の建設は国際公約だというのです。

 しかし、こうした考え方は、国際オリンピック委員会(IOC)の方向とも異なります。

 IOCは昨年末、五輪改革提言「アジェンダ2020」で、運営経費を削減するなど簡素な大会を求めた方向を打ち出しました。東京都はそのもとで、競技場の見直しを進めています。

 IOCのマーク・アダムス広報部長は市民団体との懇談で新国立について、「巨大イベントのための施設は必要ないと思う」と明言しています。

 IOCがこうした考え方を打ち出しているのは、国民に支持された五輪の開催ということをとくに重視しているからです。

 五輪の開催のためには、国民の大きな支持が欠かせません。いまの文科省が打ち出している方向は、東京五輪の成功を掘り崩し、危うくしているとしか思えません。

(青山俊明)
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